平成24年度予算編成方針

1.経済の状況
　我が国の景気は、東日本大震災の影響や低迷する海外経済情勢により依然として厳しい状況にあり、景気の低迷や株価の下落、円高が懸念される中、個人消費はおおむね横ばいとなっており、企業収益は減少し、失業率が高水準にある。また、デフレの影響、雇用情勢の悪化が懸念されるなど、決して楽観視できる状況にはない。

2.国と地方の現状
　政府は、平成24年度の予算編成に向け、8月に「中期財政フレーム」の改訂を行い、さらに、9月には「平成24年度予算の概算要求組替え基準」が閣議決定され、国の予算の概算要求に当たっての基本的考え方が示されたところである。その中で、東日本大震災に係る復旧・復興対策に係る経費は別途管理するとともに、我が国経済社会の再生に真に資する分野に予算を重点配分する「日本再生重点化措置」を実施する一方、引き続き、行政刷新の継続・強化を通じた歳出全般の見直しを行うとしている。国の動向が、地方の予算編成に与える影響は非常に大きく、特に、地方の歳入に大きなウェイトを占める国庫補助負担金、地方交付税等に係る方針の決定が待たれるところであり、併せて、地方の予算編成の指針となる地方財政対策等の早期提示が求められるところである。

3.本市の状況
　平成22年度決算においては、地方交付税や国・県支出金の増などにより、歳入全体では約41億2,734万円の増となったものの、市税や地方譲与税のほか、利子割交付金、自動車取得税交付金、地方特例交付金などの交付金が軒並み前年度に比べ減収となったところである。
　一方、主な財政指標を見ると、平成19年度決算から公表が義務付けられた健全化判断比率については、いずれも早期健全化基準を下回る結果となり、既存の指標においても、経常収支比率、公債費比率などは改善している。
　しかしながら、歳入の根幹となる市税において、雇用の低迷や新規設備の抑制などから、大幅な伸びを期待することは難しい状況にある。また、国においては、国庫補助負担金の一括交付金化を平成24年度から市町村の一部に導入を検討していることから、本市に及ぼす影響が懸念されるところである。いずれにしても、地方交付税等の見直しを含め、今後も国の動向を注視していかなければならないが、少子高齢化の進展に伴う社会保障関係経費の増加や第4次総合振興計画・第一期実施計画に掲げる各種施策の推進を図るためには、極めて厳しく難しい財政運営を余儀なくされることになる。

4.予算編成の基本方針
　こうした状況を踏まえ、平成24年度の予算編成にあたっては、第4次総合振興計画の着実な計画の推進を図るとともに、持続可能な財政運営に向けて、第5次行政改革大綱による取組みの趣旨及び方針等を踏まえ、経営感覚・コスト意識を持って臨むこととする。また、東日本大震災を踏まえ、市民の安全安心を守る施策について的確に対応されたい。なお、第一期実施計画に採択されている事業については、その採択額を上限として予算計上することとし、具体的には次に掲げる諸点に留意し、事業別予算のもと編成にあたること。また、予算編成過程の透明性を確保し、市民への説明責任を果たすため、予算要求額等の公表を拡充する。このため、部内で十分精査した上で予算要求をされたい。

(1)財源の確保
　自主財源の根幹である市税については、今後の経済情勢や地方税制度の改正等を見極め、的確な額を見積もること。また、課税客体のより一層の適正な把握、税負担の公平性・公正性を追求しつつ、さらなる収納率の向上に努めること。併せて、市税以外の未収金についても、それぞれの現状及び在り方等を踏まえ、的確な収納対策に取組むこと。
　国県支出金は、国におけるひも付き補助金の一括交付金化などの制度改正の動向に十分留意するとともに、積極的な財源の確保に努めること。
また、市の印刷物や公用車等への広告掲載、不要な市有財産の売却など、自主財源のさらなる拡充に努めること。

(2)受益者負担の適正化
　特定の受益者が受ける行政サービスの対価である使用料、手数料、分担金、負担金等は、「使用料等のあり方に関する基本方針」の趣旨を踏まえ、受益者負担の原則、住民負担の公平性確保の観点から、諸物価の動向や管理運営費などコストとのバランスにも十分配慮のうえ、現行制度の根本的な見直し・改善を行い、さらなる適正化を図るとともに収納の確保に努めること。

(3)徹底したコストの削減
　経常的経費、投資的経費を問わず、過去の実績によることなく、適切なアウトソーシングも視野に入れ、歳出内容の見直しや点検を行うこと。また、第5次行政改革の取組項目等、投資により削減効果が確実に見込める取組においては、新たに必要となる予算措置について可能な限り対応する考えである。
　職員一人ひとりがコスト意識を持ち、行政改革の観点から事務事業のあり方を見直すなど、経費の節減・合理化に努め、徹底したコストの削減を図ること。なお、経常的経費については的確な対象の把握に努め、投資的経費については事業の緊急性、必要性、投資効果、後年度の財政負担等を十分検討し、適切な要求をすること。

(4)行政評価の反映による予算の重点化　
　限られた予算を有効に活用し、最少の経費で最大の効果が挙げられるよう、行政評価制度における事務事業の評価結果を予算に反映するとともに、事業の抜本的な見直しを行い、妥当性・効率性・有効性・貢献度等により優先順位を精査し、予算の重点化を図ること。
　また、新規事業の提案については、原則として既存事業の見直し（廃止）や新たな財源確保がされるものを前提とし、事前評価を適切に実施することとする。なお、事後評価または外部評価の結果、検討・見直しを行うこととなった事務事業は、第5次行政改革の取組への追加をするとともに、改革改善計画を提出のうえ予算要求をすること。

(5)配分予算の推進
　予算の効果的かつ効率的な運用を図るため、平成24年度予算においても、一般財源ベースでの配分を実施する。このことにより、各部において既存の歳入の増額や新たな財源の確保が図れれば、事業費の拡大が可能となるため、部内において責任をもって調整すること。また、各部の歳出削減努力などを予算編成に反映するインセンティブ制度を引き続き試行するので、これまで以上に効率的な予算執行に努められたい。特に、「予算の使いきり」の発想を改め、すでに目的を達成した事業に関しては廃止・縮小とすること。
(6)市単独補助金の適正化
　補助金等調書における評価が、「減額（縮小）」等となったものについては、既に見直し計画が提出されているが、その実現に最大限努めること。さらに、外部評価の結果を踏まえ、それぞれの補助金等により実施した事業の実績や成果を十分検証すること。なお、補助事業の成果等が示せないものや今後改善が見込めないものなどについては、厳しく調整にあたるものとする。

　先述したとおり、「地方公共団体の財政健全化に関する法律」に基づく健全化判断比率については、いずれの指標も早期健全化基準を大きく下回る結果となったところであるが、これらの指標については、経常収支比率などの既存の指標とともに、今後の財政運営にとって重要な指標となることから、その推移には十分な注意を払っていかなければならない。
　平成24年度予算編成にあたっては、国の東日本大震災への対応や「地域主権改革」に伴う制度改正等について、積極的に国・県からの情報収集に努めるとともに、第4次総合振興計画に掲げる事業の着実な進捗を図り、「安心度埼玉No.1の越谷」、「市民が誇れる越谷」を目指して、全職員の創意工夫により、行政サービスのさらなる向上のため、最大限の努力を傾注し予算編成にあたられたい。