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不登校問題を考えよう【その3】 ~フリースクール「げんこつ」木村先生に聞きました~

ページ番号1707です。 2022年10月26日

不登校を考えよう【その2】」では、木村先生に 現在の不登校問題の現状や、それに対する思いを伺いました。
3回目の今回は、今の子どもたちを取り巻く問題点と 成長に必要なものは何なのか、お話を伺っていきます。

不登校問題を考えよう【その1】  北越谷『げんこつ』設立までの経緯と、『げんこつ』の紹介
不登校問題を考えよう【その2】  不登校に対する考えと、子どもたちへの思い
今回 不登校問題を考えよう【その3】  今の子どもたちが抱える問題と、子どもの成長に必要なもの
不登校問題を考えよう【その4】  今、悩める親たちに伝えたいこと

 

 ■NESげんこつ
げんこつ外観 1993年設立、NPO法人。
 フリースクールのほか、学童保育、放課後デイサービス、障害児学童保育  自立支援、ゼミナール、カウンセリングなども行っています。
 生活体験を重視した、新しい子育て支援施設です。
 
 越谷市北越谷1-23-1 オリーブハイツ101
 TEL:048-977-8996
 ホームページ:http://www.gennkotu.net/

今の子どもたちの抱える問題とは

「プライド」だけが育つ子どもたちの世界

木村先生 この20年で、子どもたちが一番大きく変わったのは  「自分で選んで」「自分で決めて」「自分で行動する」という子どもの世界が全くなくなっているということ。
 そこで育っているのは、「プライド」だけなんですよね。
 自分を守って傷つかないようにする檻を、自分の周りに作る作業をしているんだなと感じています。
 昔は『この支配からの卒業』なんて歌詞にもあったように、「卒業できる自分」があったわけです。
 でも今は、その「自分」が分からないから、どこでどうなるかが全く分からない。
 今までいい子だった子があっという間に、ネットの世界に入っていっちゃったり、犯罪に巻き込まれたり  宗教にもはまっちゃうし、いろんなものにすぐ染まっちゃう。
「勉強のできる子」が「勉強ができない子」をいじめるのも、「自分は周りとは違う」という悪い意味での自尊感情を持って 悩みも振り払っていかないと、今のこの激しい受験戦争を勝ち抜いていけないからなんです。
じゃあどうすればいいんだろうって言うと、家庭の中でいっぱい社会の事を話して 「自分って何だろう」「人と同じじゃなくていいんじゃない?」「孤独を楽しもうよ」っていうことを たくさん話し合っていくことが必要だと思います。

学校制度の問題点

今の学校制度では、子どもたちは塾に行かなくちゃいけないし、宿題もいっぱい出る。
つまり「学校に行くだけでは、大人になるのに必要な知識は身につきませんよ」っていう、おかしな教育制度になっているんですね。
世界の中で学力が1位のフィンランドは、子どもに一番近い人たちが決定権を持っていて、20人学級でとても温かい。
かたや今の日本の学校は、お金をかけたくないから、臨時採用の先生の割合がとても高くて、その上担任も持たされています。
そして1年やそこらでいなくなってしまうから、「自分の事を理解してくれる先生が、ずっといてくれる」という、継続的な安心感がないんですね。
今の教育は、大人が山ほど例題を作って、それを片っ端からダダーッとやらせていく「パターン教育」なんですね。
人間をコンピューターに見立てて、情報をインプットして 目の前にある課題に対して必要な情報を引っ張り出してきて処理をするっていう能力をつけさせる。
だから、「考えない」「衝動的」っていう青年たちがとても増えてきました
先生たちの労働環境にも問題があって 子どもたちへ知的な感動を与えるための、教材研究や授業研究をする時間が少なすぎるんです。
そう考えると、「不登校は個人だけの問題ではない」ということが分かってくると思います。

子どもの成長に必要なもの

生活が豊かになると、勉強も豊かになる

よく保護者の方たちがおっしゃるのが、「ウチの子はね…好きなことだけは一生懸命やるんですよね…」という言葉(笑)。
でも僕は、好きなことをとことんまでやって、一流になったらすごいんだけどなって思う。
ただし、好きなことだけやってればいいかと言えば、それは僕も違うと思っています。
例えば、足し算や割り算なんかの計算は、できなくていいかと言われれば、できたほうがいいに決まってますよね。
でもどうして勉強がつまらないかと言うと、今は何でも反復練習だけなんですね。
例えば漢字の勉強だと、字をノートに何回も書かされるだけで その漢字の持つ仕組みや面白さなんていう日本の持っている文化なんかは、ちっとも教えてくれないの。
人間はコンピューターじゃないのにね。
そして今の学校の勉強は、ペースが早すぎるんです。
子どもの成長の人間らしいスピードを超越していて、子どもたちはいつも小走り状態なの。
小走りだから、「習ったことを生活の中で使ってみる」っていう道草ができない。
習ったことが「生活の中で使われていない」から、つまらないわけです。
そしてその逆もない。
その逆というのは、子どもの生活体験が乏しいということです。
例えば、ザリガニを釣ってきて生態を観察するっていうのは、理科の生物の勉強。
おはじき遊びをして、「二、四、六、八、十…」と数えるのは、算数の10進法の勉強。
草花を使った色水遊びや、夜空に星座やお月さまを眺めたりするのは、理科の始まりです。
そんなふうに勉強っていうのは、生活の中のものが理論になっているから、発見があって楽しいんだけど 今は親たちも忙しくて、そういった「生活の土台」「生活力」が全くなくなってきているから 勉強の中に発見がないし、学校で習うことがちっとも感動的でない。
つまりは、生活が豊かじゃないと勉強も豊かにならないということです。

生きる力は「生活する力」から生まれる

小学校の勉強というのは、生活の中にあるものがほとんどだから、本来は6年生くらいになれば 大人になって生活をしていく上での、炊事洗濯などのほぼ全ての事はできるはずなんですよ。
でも今は、そういった生活の技術を一切教えていないんですね
家庭の中では任務分担をして、子どもは勉強だけで家のことはやらなくていいよ、というような いわゆる、子どもを家の中の「お客様」にさせている。
そういった点が、現在の家庭教育の中で一番衰退している点だと思います

以前『げんこつ』に来た中学2年生の生徒で、カップラーメンを食べようとして、そのまま直火にかけて爆発させちゃった子がいた!
それまでは、全部お母さんがやってくれてたから、作り方を知らなかったらしいです。
でもその子だけの話じゃなくて、今は一億総過干渉で、親は手が出る、口が出る!(笑)
『げんこつ』では週1回、自分たちで材料を買ってきて料理を作る日があって、それを大事にしているんです。
不思議なことに、家事ができるようになってくると、顔つきもキリッとしてくるんですね。
そして判断力がついて、自我も出てきます。
子どもたちに必要なのは、よく言われている「生きる力」ではなくて、「生活する力」なんです
今って、誰かに依存しなくては生きていけない時代になってきちゃってるでしょ。
だから『げんこつ』では、食材から何かを作れるように インスタントをなるべく使わず、きちんと包丁を使って一から作るんです。

引き続き、「不登校問題を考えよう【その4】」では 今、子育てで悩んでいる保護者の方たちに
木村先生が伝えたいことを伺いました。

(2017年12月 byクワイエメンバー ゆきだるま、Sakiko、fika)

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子ども家庭部 子ども施策推進課 (第二庁舎2階)
電話:048-963-9165
ファクス:048-963-3987

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