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仲間と読みつなぐ物語の世界 ~「朗読ボランティアさなえ」さん~

ページ番号101202です。 2025年3月31日

群読を知っていますか?

去年12月ボランティアフェスティバルこしがやが、開催されました。その舞台に立ち寄った際「朗読ボランティアさなえ」さんの発表を拝見しました。

舞台があがり、メンバーが登壇、一人目の読み手が語り始めた瞬間、ばっと舞台が輝き始めました。

『お母ちゃんにクリスマスプレゼントをあげたいが、お小遣いが足りない姉と弟。商店街の福引で特賞のバッグを当てて、プレゼントをしようと思いついた二人。拾った抽選券で念願のバッグを当てたものの…良心の呵責に苛まれる姉と、バッグをお母ちゃんにあげたい弟の物語』

ひとつの物語を、一人目、二人目とテンポ良く、読みつないでいます。

楽しそうに、時には真剣な語り口からは、子どもたちの姿がありありと目に浮かびました。お母ちゃんを思う気持ちが伝わって来て、涙がこぼれそうになりました。

私は、子どもが通う小学校で絵本の読み聞かせのボランティアをしています。

子どもたちに喜んでもらいたくて、毎回試行錯誤をしていますが、楽しませるのは難しいと感じていました。こんなに楽しくて、感動した読み聞かせは、初めてでした。群読に衝撃を受けた私は、どのような活動をされているのか気になり、朗読ボランティアさなえさんの活動を見学させていただきました。

 

朗読ボランティアさなえさん

平成28年に設立されたグループで、劇団民藝の相葉早苗先生が指導をされています。「さ組」「な組」「え組」の3グループがあり、現在は25名のメンバーが所属しています。

見学日は、3月の発表会と高齢者施設での活動を控えていたため、練習に熱が入っていました。

まずは、読み合わせ。メンバーは、登場人物のキャラクターや背景を想像しながら、担当パートを読んでいきます。

相葉先生は、台本にたくさんの付箋をつけながら、メモをされています。

途中で、先生の熱烈な指導が入ります。

「この子はこどもだから、うまく自分の気持ちが言えないんだよ」

お手本として、読んでから

「今は私の気持ちだから、○○さんの気持ちで読んでみて」

「上手に読もうとしなくてもいいよ」

「そこは、遠くから呼んでいる場面でしょう、想像してみよう」

と声量、強弱で距離感を出すアドバイスもありました。

すると、メンバーの語りがぐっと良くなるのがわかり、すごいと思いました。

「屁っぷり嫁さん」

嫁さんが「おらぁ、屁をしたくて、したくて」と苦しそうに話します。かわいらしいお嫁さんがおならをがまんしている様子を想像し、思わずわらってしまいました。

「あかてぬぐいのおくさんと7人のなかま」

お針箱の中で道具たちが、自分が一番大切な役割をしていると言い出しました。針むすめに、指ぬきばあちゃんと…次々に登場し、自慢を始めます。メンバーの個性が生きている素敵な物語でした。

 

本の世界に入ったような…

朗読ボランティアさなえさんのお話は、ドラマ仕立てになっています。一人で読む朗読とは異なり、たくさんのメンバーで読みつないでいます。それぞれの個性が出て、味わい深く、つい聞き入ってしまいます。

 

気持ちを伝えるには…

読む姿勢は、大切。しっかりと足で支えないと、良い発声が出来ない。

ただ読むのではなく、読み手自身が登場人物の性格、背景などを想像してその人物の気持ちを伝えることが大切。

情報を正しく伝える話し方はアナウンサー、群読は気持ちを伝えるもの

聞き手に伝わりやすいように心がける。

頭の言葉は、ハッキリと発音する。

同じ「はあー」というため息でも、場面によって異なることを意識する。

 

早苗先生の表現方法、発声方法の指導は、ご自身の舞台経験によるもので一つ一つが身に沁みました。小学校での絵本の読み聞かせでも、参考になる内容でした。

 

【相葉早苗先生に質問】

私たちは群読を「ドラマティック・リーディング」とよんでいて、まるで舞台を観ているようだ、という感想をよくいただきます
越谷は朗読が盛んで、様々な朗読の活動や形があり、刺激と活気に溢れた都市。
ここでは、出身地の方言や、訛りすらもその人の素晴らしい個性と考え、あえて直すことはしていません。同じ登場人物でも、その読み手自身の個性を引き出す、それぞれの個性が輝くような作品になるように心がけています。
また、いつも同じような役どころではなく、次はこんな役もやってみたい、という希望も取り入れて、チャレンジの気持ちを応援したいと考えています。

聞いてくれる人に元気になってほしい、心から笑ってほしい、だからうまくなりたい気持ちが強いメンバーが多いので、その熱意に突き動かされ、毎回気が抜けません。指導に熱が入りすぎて「練習は大変なときもあるけれど、群読は楽しい」と言われてしまうこともありますが…笑
メンバーにも、そして聞いてくださる方々からも、大切な事を私が教えてもらうことの方が多いと感じています。

群読は、体ひとつで表現ができるもの。自分の短所だと思っていたことが、実は長所でもあることをお伝えして、自分に自信を持ってもらうことで、1人ひとりが輝いてほしい。でも、褒められると謙遜してしまったり、そんなことない、あの人の方が上手だし…と、つい比べてしまいがちですよね。その人だけの良さ、唯一無二の個性を伸ばして作品に活かしていくのは簡単なことではありませんが、精一杯お稽古してボランティア先で「楽しかったよ、また来てね!」と言われて嬉しそうに帰って来るメンバーの充実した表情を見るのが、今の私には一番のご褒美なんです。

 

●相葉早苗先生より一言メッセージ

誰かを喜ばせたい、自分も何かに挑戦したい。1人では難しいけれど、仲間と一緒に作る物語の世界は楽しいです!お互いの成長に刺激と喜びを感じられるボランティア。聞いてくれる人も、自分も元気になれる。そんな活動を目指しています。興味があったら、是非!一緒に越谷を元気にしていきましょう!!

 

【メンバーの皆さんに質問】

●群読のおもしろいところはどこですか?

自分で読むと平面的なお話が、先生の一言で立体的に見えてくること。読み手の個性の違いにより先生の演出も変わるので、幾通りにも楽しめること。
数名の読み手による掛け合いやガヤ(雑踏感)は、臨場感が味わえ、その駆け引きが実におもしろい。それを観客の方々が、まるで演劇を見ているようだったと、喜んでくださること。

 

●群読のむずかしいところは?

小手先の技で切り抜けようとせず、常に心を動かしながら読むこと。1人1人が読むのは部分的ですが、全体の中の大切な一部分であることを意識して読むことです。

 

●朗読ボランティアを始めて、自分が変わったなと思うところは?

入会前はきれいに読むことが朗読と思っていました。しかし先生のご指導を受けてからは、気取らず地声で良いから、書かれてある状況や心の動きを想像しながら、自分の中から自然と湧いてくる思いを大切に表現する方向を目指すようにしています。時には、自分と全く違う個性の登場人物を読むことがあり、恥ずかしいと思う自分の殻を勇気を出して破り表現することは、実は豊かで格好いいことなのだと、思えるようになりました。

 

【取材を終えて】

初めて見たときの感動を共有したくて、読み聞かせボランティアをしている

メンバーを誘い、見学させていただきました。そのメンバーも「すごい、想像していたものとは良い意味で違っていて、びっくりした」と言っていました。

当日は3時間の練習でしたが、メンバーの皆さんが楽しそうに参加されていました。皆さんが楽しみながら、先生と一つの物語を作り上げていることが、聞き手の感動につながっているのだと思いました。これからも皆さんが作り上げる舞台を楽しみにしています。

 

(2025年3月 byクワイエメンバー were)

このページについてのお問い合わせ

子ども家庭部 子ども施策推進課 (第二庁舎2階)
電話:048-963-9165
ファクス:048-963-3987

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