こども・保護者・地域・教育・福祉・医療など、
みんなで「こどもの声を聴く」ために開催された「越谷市こども子育て楽会」が開催されました。
様々な立場の人たちが一堂に会する初めての試みでしたので、クワイエメンバーで行って来ました!
越谷市こども子育て楽会とは
こどもまんなかのまちづくりを目指して、こども達や子育て家庭の声が聴けて、意見が言える場所を作りたい!から生まれたのが、「越谷市こども子育て楽会」です。
運営委員は、16名。
子育て・教育・福祉の現場で活動しているからこそ、リアルな視点で話し合いをし、開催に向けて動き出したそうです。
代表であるつむぎこどもクリニック・吉岡淑隆さんにお話を伺いました。
Q1.どのような経緯で、越谷市こども子育て楽会を開催することになったのですか?
---私は、2021年にレイクタウン地域で小児科クリニックと自主運営で病児保育室を立ち上げました。
そして、日々の診療の中で、生きづらさを抱えたこども達や子育て家庭と向き合うことが日常となりました。
私がこれまで働いてきたどの地域と比べても、越谷市はこども達が生きづらく、子育てがしにくい地域なのではないかと強く感じるようになりました。
「こども達の声を子育て関係者みんなで聴き、それをもとに街づくりができたらいいな」「子育て支援者が繋がりより充実した子育て支援ができたらいいな」という発想から、学会みたいなことができたらいいのではと考えました。
そして、こども達に「楽しい」と思ってもらいたい、子育てを「楽しい」と思ってもらいたい、という想いから「越谷市こども子育て楽会」という名称に決めました。
そんな想いを繋がりのある子育て支援者の仲間に伝え、有志の仲間と共に、2025年1月このプロジェクトが動き出しました。
---しかし、医療・保育・教育・福祉・NPO・保護者など多様な分野から構成された実行委員であり、みんな熱い想いを持って自身の仕事や活動では中心的役割を担っていたり、それぞれ家庭も持つなかで、全員がそろったミーティングはありませんでした。
ゼロからのスタートのため実績がなく、申請を出した助成金はすべて落選し、難しい状況の中、それぞれができることを役割を決めながら進めていきました。
叡明高等学校という素晴らしい会場が決まり、実行委員に加え協力者も増えていきました。
ミーティングを重ねていく中で、第一回大会は「こども達の声を聴く」ということにフォーカスを当て、「こども達の声を聴こうとしている人達がここにいること」「こども達の声を聴くとはどういうことなのかを考えるきっかけになる大会にすること」をテーマに準備を進めていきました。
Q2.来場者に伝えたいことは、どんなことですか?
---こども達に対して「君たちの声を聴こうとしている人達がここにいるよ」「どんな形でもいいから想いを伝えていいんだよ」と伝えたいです。
私たちを含む、こども達とおとな達に対して「私たちは声を聴くことができていますか」「声を聴くとはどういうことなのか考えてみませんか」と伝えたいです。
そして、声を聴いたその先にどんな行動ができるのか、これから挑戦が始まります。みんなでみんなが生きやすい街をつくっていきましょう!
開催内容
専門団体による体験や相談、パネル展示、こども達が主催のパフォーマンス、こどもの声が届く教育シンポジウムなど、親子が楽しめて、学べることがたくさんありました。

会場では、来場したこども達に「話しやすい大人キャラ総選挙」と題してアンケートを実施。
イラストや写真ではなく、言葉から感じる大人のイメージを手掛かりに、どの大人が話しやすいかを投票。
途中経過の状況を写真におさめました。言葉からは、『遊んでくれそうな』がこども達には魅力的なようです!
また、事前に、越谷市内各所において、「話しやすい大人ってどんな人」について、こども達が自由に記述。
単に優しい人、怒らない人・・・が多いのかと思っていたのですが、様々な表現があり、驚きました。
イベント終えての感想
代表の吉岡淑隆さんと、実行委員長の根岸千怜さんに、第一回を終えて、率直な感想をお聞きしました。
【吉岡淑隆さん】
シンポジウムやパフォーマンスで、こども達がそれぞれの声で想いを伝えてくれたことが、とても嬉しかったです。
その言葉や想いを伝える前に、きっといろいろ考えただろうなとか、大きな勇気が必要だっただろうなと思います。
こども達ってすごいなと改めて感じました。
そして、こども達が「話していいんだ」と感じてくれる環境や雰囲気を、みんなで作り出せていたのだろうと思います。
この素晴らしい大会を開催することができたのは、当日ご参加いただいた皆さまをはじめ、学生ボランティア・協力者サポーター・ブース出店・ポスター展示・こども食堂・パフォーマンス団体・シンポジウム登壇者・叡明高等学校など、様々な形で関わってくださった皆さまのおかげです。
特に実行委員の方々は、強い想いを持って長い期間準備をしてきて、当日の運営も含めとても心強く感じたと同時に、本当に素晴らしい方々が越谷市にいることを実感しました。関わってくださったすべての皆さまに感謝を伝えたいです。
そして、この仲間達となら越谷市を変えられます。
「こども達が生きやすい街をつくりたい」
「こども達に生まれてきてよかったと思ってもらいたい」
「こども達が生まれてきてよかったと、ご家族にもまわりのおとなたちにも思ってもらいたい」
この想いが必ず叶うと確信しました!
【根岸千怜さん】
ここからがスタートという想いが強いです。
今回のイベントには、『こどもの想いからはじまるまちつくり』というサブタイトルがありました。
イベントに至るまでの間にもこどもの声の集め方、その伝え方、見せ方を実行委員のメンバーで何度も話し合いました。
イベントの中で展示した巻物型アンケートは、言葉だけでなく絵や色、様々な表現で答えられるように考えました。
絵や色で表現したものにも、それを描いたストーリーがその子の中にはありました。
そして、シンポジウムで不登校の経験を話してくれた子、ステージ発表でいじめられていたことを話してくれた子、普段は話すことができないことを、信頼できる大人のもとでお話して頂くことができました。
勇気を出して話してくれた事、伝えてくれた想いを私たちは、届け、活かしていかなければいけないと思っています。
日本では、不登校者数が34万人を超え、こどもの自殺者は500人を超えました。
越谷市においても様々な課題を抱えたお子さん、親子は身近にいます。
支援活動をしているから、そうした家庭に出会うのではありません。
集団の中にいるこどもたちの方が、そのことに気づいています。
こどもの声を聞く事は、課題に気づく第一歩でもあります。
でもその一歩がとても難しい。だからこそ今回の楽会には意味があると思っています。
頂いた感想の中で、こどもの声を聞くってどういうことなのか、本当の意味で話を聞くことができているのか、考える機会になったという言葉を多数いただきました。
そうやって想い感じた人たちが繋がり、行動を起こしていくことがこどもたちの未来をより良くする第一歩になります。
この楽会は終わりではなく、それぞれが次に向かうスタートだと思っています。
現場を見たクワイエメンバー感想
第1回越谷こども子育て楽会を観に行ったクワイエメンバーから感想も貰いました。
【fika】
越谷の「子育て」にアツい人々と団体が、まさに1ヶ所に集結したようなイベントでした。
シンポジウムでは、当事者のお子さん2人と行政側(自治体&国)から話を伺う形になっていて、「こどもの声」を受け止めたあと、「私たち大人は何ができるのか?」と考えが深められる仕組みになっていたのが、とても印象的でした。
当事者のお子さんは、主催の吉岡先生が診ていたお子さんたち。
来院した時は悩みを抱えていたお子さんが、自分で人生を切り開いてこんなにたくさんの人たちの前で堂々と意見を述べるなんて…と涙で声を詰まらす吉岡先生の姿に、こちらまでグッとくる胸アツ展開でした。
こどもたちの力ってすごいなと感じるとともに、私たち大人はそのこどもたちの声をどう聞いていけるのかを考え続けていかなくてはいけないんだな、と思わせるイベントでした。
【みんと】
「子育て楽会」というネーミングが気になり、行ってきました!
様々な角度から子育てを支援しようとする団体が集まっていて、「子育て」への情熱を持つ人の多さを感じました。
シンポジウムでは、「不登校に苦しむこども達の声が、学校に届いていない」「大人は、こども達にどんな教育環境を整えるべきか?」そんなメッセージが伝わってきました。
先日たまたま 複数の学校でお聞きした、現場の先生方の話も思い出しました。
先生方の共通した願いは、「こどもの本音を、おうちの人が聞けていない。もっと話を聞いてあげてほしい!」でした。
そして、「1人1人の多様性に対応してあげたいが、とにかく人手が足りない!」という、学校側の悲鳴もありました。
子育て家庭の声としては、「こどもの相手をしてあげたいが、とにかく余裕がない!子育ても、どうしたらうまくいくのかわからず、毎日必死」というところでしょうか。
社会の変化に、大人の意識や制度の改革がついていかなくて、大人もこどもも苦しんでいるのが現状なのかも知れません。
国のCOCOLOプランは実現に時間がかかりそうなので、今できることとしては、家庭だけで問題を抱えず、こどもの声、親の声、関係者・支援者の声を出し合って、広い選択肢から その子に合った対応を模索できるようにすることなのかなと思いました。
子育てクワイエでも、選択肢が広がるような、子育てを「楽にする情報」「楽しくなる情報」を伝えていけたらいいなと感じました。
【やまぴー】
短時間でしたので具体的には見えなかったのですが、こどもの声を聞くと言う視点がとても良いと思いました。
「何か言えなかったけれど、自分の周りに思いを受け止めようとしている人達がいる」と言うことをわかることでも、その子の中に宿るものがあると思います。
なかなか形にできない事でも、色々な年代の人、こどもの為に様々な活動をしている団体が周りにいる事で、少しづつ方向が見えてくるのではないかと思います。
そういう意味では、高校生が役割分担して参加していた事がとても良かったし、多様なブースが設けられていたのも良かったと思います。
あるブースではブンブンゴマに夢中になっていたお母さんの姿、とても印象的。それを見ていたこどもの顔、幸せそうでした。
また、何人もの知り合いに会い、その方々の活動を知る機会になり、自分の世界が少し広がったような気がします。
シンポジウムが聞けなかったのは、残念でした。
【マユ】
こどもも大人も自分たちの想い・考えを話して、みんなで「教育」を考えました。
より良い教育を模索する試みに、伸びしろを感じました。
私は、自分の子育て経験から、子育ては地域と共に!がモットーです。地域のお節介おばさんになりたいとも思っています。
地域の一人一人が関心を持ち、自分ができる時に、できることを、できる範囲で、できるだけの行動力で、世の中は動き出すと思っていましたが、この楽会で、できるんだ! 越谷が暮らしやすい街になる!と実感しました。
(2025年11月 byクワイエメンバー fika、みんと、やまぴー、マユ)



