着物の色味などから合う顔・表情を一つ一つ吟味する

　「お子さまの生涯にたった一つとなるひな人形に、親や祖父母のかける思いは強い。それに応えられるよう、丹精に作ったひな人形を購入した方に直接届け、喜ぶ姿を見られることが会春人形店の職人全員の制作意欲につながっている」。
　1体の制作に50人以上の手が加わるひな人形。人形師で埼玉県伝統工芸士でもある父・博之さんの元で22歳から衣装着の着せ付けの技を磨き、高度な技術・技法が評価され、令和元年に埼玉県伝統工芸士に認定された。古典柄を現代的な感覚の色合わせにしたモダンなひな人形は人気を集めている。「どれほど作ってもこれで完璧だと思うものはきっとできない」。
　業界を覆う時代の流れは厳しい。それでも職人として高みを目指し、今日も心を込めてひな人形を作り続けている。