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学校に行かないと決めた子どもたち【その1】~フリースクール「りんごの木」~

ページ番号1719です。 2022年10月26日

子どもが学齢期になると学校に行くことが当たり前なのでしょうか?
学校に行かない、行けない子どもたちのことを皆さんに知っていただきたいとの思いで、クワイエでは不登校についての取材をおこなってきました。
2017年12月の記事『不登校問題を考えよう』では、北越谷「NESげんこつ」の校長・木村鉄也先生に、不登校を含む現在の子どもたちを取り巻く問題や解決法などを伺いました。
そして今回は、フリースクール「りんごの木」を運営されている越谷らるご」の理事長 鎌倉賢哉さんに、フリースクールとは?子どもが「学校に行かない」と言った時の親の心持ちなどを伺いました。
全2回に分けてご紹介したいと思います。

理事長の鎌倉さん
 理事長 鎌倉賢哉さん
 

 今回

学校に行かないと決めた子どもたち【その1】

「りんごの木」の設立について、紹介、「りんごの木」での過ごし方、勉強・進学について 
学校に行かないと決めた子どもたち【その2】 学校に行かないことについて、保護者へ伝えたいこと、「越谷らるご」の活動について

 

「越谷らるご」設立までをお聞かせください

1988年に学習塾で学校に行っていない子どもたちの学習支援を始めたのがきっかけです。
1990年にフリースペース「りんごの木」を開設。子どもの居場所だけではなく、相談をしたい、親の会をしたい、20歳以上も集まりたいということで1992年に任意団体として「越谷らるご」が出来ました。ずっと「越谷らるご」と「りんごの木」は別団体として活動してきましたが、2001年にNPO法人となり、「りんごの木」はフリースクールとなり週2回の開設を毎日に増やし、不安定なボランティア運営からきちんと活動できるようになりました。
「越谷らるご」の、「らるご」の言葉は、音楽用語のゆっくりとした=largoです。
以前は「草加らるご」もあって、草加と越谷で姉妹団体として活動をしていました。(今は「草加らるご」はお休みしています)中心となって活動してきたのは増田良枝さんなど、当時不登校の子どもがいた親たちでした。
NPO法人となってからは市民大学的な活動など、色々な学びもしていこうということで活動してきました。
 

「越谷らるご」の活動についてお聞かせください。

大きくは5つの活動があります。フリースクール「りんごの木」、自立援助ホーム「ゆらい」、20歳以上の人の居場所「ほっとりんご」、埼玉県ひきこもり相談サポートセンター、親の会・講演会です。
柱になるのは「りんごの木」です。開設当初はフリースペース「りんごの木」でしたが、NPO法人化した際フリースクール「りんごの木」となりました。子どもたちと作る場、子どもたちから学ぶ場として活動をしています。

フリースクール『りんごの木』について教えてください

フリースクールはどのような場所ですか?

子どもたちが安心してのびのび過ごせる場所です。子どもたちは皆楽しもうと日々貪欲に過ごしています。
仲が悪い子でも楽しみたいから一緒にゲームをしたり。楽しそうな姿を見ていると、皆なんとか乗り越えていける気がします。

フリースクールは何歳から利用出来ますか?

6歳(小学校1年生)から20歳までが入会できます。子どもが自分で、もういいかなとなったら「卒業」していきます。お別れ会は3月にまとめて行います。「卒業」のしかたは、別の居場所を見つけたり、他にやりたいことができたり、友達との折り合いが…と色々です。卒業後の相談は継続して受けていますし、卒業生は交流日に月1回参加出来ますので繋がっている子は多いです。

利用されているお子さんの年齢は?

最近の傾向は小学生が増えました。以前の中心的な世代は15歳くらい(中学生)でしたが、最近は10歳前後で学童のような感じです。よく言えば賑やかです。ケンカも時々ありますね。
大きく変わってきたのは、子どもに無理をさせない保護者が増えたことです。以前は親が学校に無理やり連れて行くことで我慢して小学校に行く子どもが多かったです。その結果、中学生や高校生の年齢になって大きなストレスをかかえてフリースクールに来る子が多かったです。今は以前と違ってそこまで傷ついていないので、皆明るくて元気があり楽しんで毎日過ごしているように感じます。

利用されているお子さんの数は?

立ち上げた頃(1990年)は今と運営の仕方が違っていて、一家族1カ月千円で行っていました。色々な人達が来ていて何人来ているのかを数えられないくらいだったようです。
法人化した時は30人弱でしたが今は40名利用しています。多様な子どもたちがいますが、ここは部屋が沢山あるので、合わない子がいても別の部屋で過ごすことが出来ます。

先生はどのような方たちですか?

「りんごの木」ではスタッフは『先生』ではありません。子どもと一緒に作るということで活動してきたので名前やあだ名等色々な呼び方をされています。評価も成績もつけないですし、出来るだけ対等にやっていこうということでスタッフは『さん』づけされています。
スタッフは、3名で2名は常勤、1名は非常勤、その他にボランティアが1日1名くらいで活動しています。
ボランティアの方は、会社員の方がお休みの土曜日に来たり、自身も不登校の経験がある方、元学校の教員の方など様々です。

入会金などフリースクールの料金について教えてください。

会員制としています。入会金と通う頻度によって会費を頂いています。
入会金5万円、いつでもコース(毎日OK)月額36,500円、ときどきコース(月4回まで)月額15,450円です。
ホームページやパンフレットで明示しているので料金について聞かれることは少ないのですが、なぜこの金額になるのか、というご説明はしています。施設の維持費やスタッフの人件費、行政からの補助金が無いなどの理由があります。ご家庭の事情により減免制度を設けておりますのでご相談ください。
 

フリースクール「りんごの木」を写真で紹介 1

越谷らるご外観 玄関 事務室前
 せんげん台東口から徒歩1分! 玄関靴箱 事務室前


音楽室 大部屋3 大部屋 2
 音楽室 大部屋 大部屋

フリースクールの一日の流れを教えてください。

1日の流れは、朝10時から始まって5時に終わってそれから掃除をして帰ります。
月曜日は公園、水曜日は特別活動の日、木曜日はお昼ご飯を作る日、金曜日はミーティング となっています。
企画は参加してもしなくても良いです。お出掛けに参加しない子どもはりんごの木で過ごします。水曜日の企画は月初めの全体ミーティングで子どもたちが話し合って決めます。
毎月色々な企画がありますが、基本は楽しく充実した日を送って欲しいと思っています。

勉強はしますか?

個別にスタッフが教えています。毎日学習タイムという時間を設けていて勉強したい子はスタッフがついて教えます。
主に勉強しているのは通信制高校に通っている子どもたちでレポートを一緒に作成したり、テスト前にテスト勉強をしたりすることが多いです。ここで過ごしていても色々な人と話したり、色々な事を考えたり、合同文化祭※がある時は色々な物を作ったり活動しています。またパソコンを使うことでローマ字を覚えることもあります。読む力や社会常識が学校に通っている子よりも無いという事はないと思います。大事なのは高校を卒業したいかどうか、この先どうやって生きていきたいかを、きちんと考えることで、それに向って行く子は多少難しさがあっても頑張ることが出来ます
そこの部分は大事に見ていきたいです。

合同文化祭って何ですか?

昨年11月フリースクールフェスティバル※に参加して「りんごの木」は駄菓子屋をしました。
その日の会場は東京シューレ葛飾中学校でフリースクール東京シューレが作った不登校の子どものための中学校です。
フリースクールは財政的に支援が無い中でやっていかなければならないので、実際全国に多くありません。
ちなみに越谷市は「げんこつ」と「りんごの木」二つのタイプが違うフリースクールがあって、利用する方が選べるので
充実しているのではないかと思います。フリースクールが無い地域はとても多いので、ここには東武沿線や東京、茨城
からも子どもが通っています。

フリースクールか?学校か?

今は『教育機会確保法』という法律も出来てフリースクールが一つの選択肢になっています。以前よりはフリースクールに通うことへの後ろめたさが無くなっていると思います。学校にフリースクールの出席日数をお伝えすることで、ここに通っている大半の子どもは学校が出席扱いになっています。フリースクールのスタッフは、学校と教育委員会とフリースクールの関係会議を行っていたり、学校に教育委員会の方と訪問して子どもの様子を話したりしています。先生がここに来ることもありますが、その子が先生と話したくなければ話しをすることはありません。
私たちは学校に戻すことを目標にしていません。
子どもたちがのびのび過ごすことが大事で、皆はダメな子ではないんだよということを伝えたいです。
フリースクールに来るには親は学校から離れる覚悟をしないといけないので、そこに大きな壁があるかも知れません。というのも、大半の子どもは高校には行くのですが、小中学校に戻る子どもはごくわずかです。
学校に戻らなくても良いと親が腹をくくれないと、フリースクールに入ってからも大変になります。フリースクールに行けるんだから、元気そうだから学校に行きなさいでは、子どもは本来なら学校に通わなくてはいけないのにここに来ていると思い、罪悪感を感じて元気がなくなってしまいます。自分から学校に戻る子どもは時々います。
学校に戻ろうとしている子には、戻りたいよりも戻らなきゃいけないという感じで、その気持ちは微妙で複雑です。
学校に行きながらたまに利用する子もいます。学校に行かないと勉強が遅れてしまうのではないかと言われることもありますが、多少勉強しなくても大人になるし、学校に行っていれば全部頭に入っているかといえばそんなことはありません。だからと言って学校を否定している訳ではなく、学校で育つ子もいればそうではない子もいても良いと思います。学校が絶対ではないということです。

高校へ進学することについて教えてください。

まずは自分が将来何をしたいのか、どう生きたいのか考えて欲しいです。高校に進学するかどうかの時も本当に行きたいのかどうか?周りの人が行くから行けば良いのではないんだよと話しています。高校へ行かない子もいますし何年かしてから行く子もいます。通信制の私立高校は3年間で卒業させるようにするのですが、公立の埼玉県立大宮中央高等学校は8年間まで自分のペースでゆっくり勉強出来るようです。私立の高校はお金が掛かりますが、公立の高校はあまりお金が掛からないので、なんとなく進学してしまう子もいます。
専門学校や大学となると自分が頑張らないと卒業出来ないしお金も掛かるので高校の先の進路が岐路かと思います。
 

フリースクール「りんごの木」を写真で紹介 2

 
パソコン 漫画本 本棚 
 パソコン 漫画本 本棚


くつろぎスペース ゲーム機 自由に過ごす 
 くつろぎスペース ゲーム機 自由に過ごす 
 

 特定非営利活動法人越谷らるご
 HP:http://k-largo.org/
 住所:越谷市千間台東1-2-1白石ビル2F
 TEL:048-970-8881

 

学校に行かないと決めた子どもたち【その2】」では、学校に行かないことについて、保護者へ伝えたいことを、引き続き鎌倉さんに伺っていきます。

(2019年7月 byクワイエメンバー れいなママ、やまぴー、ゆきだるま)

地図

フリースクール「りんごの木」

このページについてのお問い合わせ

子ども家庭部 子ども施策推進課 (第二庁舎2階)
電話:048-963-9165
ファクス:048-963-3987

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