「男女共同参画」という言葉を聞いたことがありますか?
なんだか分かりにくいし難しそうだな…と思っている方も多いのでは?
でもこんな言葉をかけられて、モヤっとしたことはありませんか?
「女性なんだからもうちょっと気を利かせて」
「リーダーは男の人じゃないとね」
「女の子を生んだら将来はお世話してもらえるわね」 などなど…
それ、全部「男女共同参画」につながってます!
もっと「男女共同参画」を知りたいということで、クワイエメンバーが越谷市男女共同参画支援センター「ほっと越谷」を取材してきました。
■越谷市男女共同参画支援センター「ほっと越谷」■ 越谷市大沢3-6-1 パルテきたこし3階(東武スカイツリーライン北越谷駅前) TEL:048-970-7411 ホームページ:https://hot.koshigaya-center.jp/ 開所日:火~土曜日(9:00~21:00)、日曜日(9:00~17:00) 休所日:月曜日・祝日(月曜日が祝日にあたる場合は火曜日も休所)、年末・年始(12/29~1/3) |
■「男女共同参画」とはなんですか?
「ほっと越谷」土方所長
男女共同参画」とは平たく言うと「男女平等」のことです。
「男女」の部分は、英語で「ジェンダー」という言葉に置き換えられます。
「ジェンダー(=Gender)」とは、「出生時の性別(=Sex)」とは別の「社会や文化によって作られた性別」のことを言い、「ジェンダー平等」とは、性別にかかわらず、あらゆる人が平等に責任や権利、機会を分かちあい、社会で活躍できる環境のことをいいます。
最近では、「平等(イクオリティ)=男女問わず均等な機会を提供すること」から進んで、「公正(エクイティ)=個々の状況に合わせた機会が作られること」の大切さも言われています。
■世界・日本での「ジェンダー平等」はどうなっていますか?
「ジェンダー平等の実現」は、SDGs(2030年までに持続可能でよりよい世界を目指す国際目標)の5番目に掲げられている重要な目標ですが、世界的に見ると女児が結婚をさせられたり性器切除をされたりなど、まだまだ進んでいない実態があります。
一方、日本の状況はどうでしょうか。
世界経済フォーラムが毎年発表をしている「ジェンダー・ギャップ指数」というものがあり、この指数が上位であるほど、その国内においてジェンダー平等が進んでいると言えます。
2024年日本のジェンダーギャップ指数は、146か国中118位です。これはG7の中で最下位であり、日本のGDP(「国内総生産」=国の経済力の目安)が4位であるにも関わらず、非常に低い結果となっています。
■男女共同参画社会が実現すると世の中はどう変わっていくのでしょうか?
男女格差が経済に与える影響は無視できないものとなっていると言われています。世界銀行は、雇用と起業における男女格差を解消すれば、世界のGDPを20%以上増加させることができると見積もっています。
また、女性も男性も、性別に関係なく自分らしく生きやすい社会になるでしょう。
たとえば、「男なら泣くんじゃない」とか「女なんだから、乱暴な言い方をするな」と叱られることは現代でも少なくありません。この言葉には「男は強くあるべき」や「女はおしとやかで優しくあるべき」といったイメージがかくされています。
このような「男はこうあるべき/女はこうあるべき」といった性差に基づく偏見や差別をジェンダーバイアスといいます。
「男性は弱音を吐いてはいけない」というジェンダーバイアスは、男性の自殺者が多い要因のひとつになっているとも言われています。男女関係なく悲しみや感動を表現する時は、涙を流してもいいし、人を傷つける乱暴な言葉は男女問わず使うべきではありません。
男女がそれぞれ抱える生きづらさは「パワハラ」や「セクハラ」といった言葉が生まれることで可視化され、社会全体での意識が変わってきました。
また、マイノリティ(少数派)のための解決策が結果的に、社会全体に良い効果をもたらす「カーブカット効果」というものがあります。
当初、車いすを利用する方のために設置したスロープが、ベビーカーを押す親たち、重い台車を押す作業員、スーツケースをひく人、スケートボードを楽しむ人たちにも恩恵を与えたという出来事から生まれた考え方です。
多くの方は「男女共同参画」というと「自分には関係ないこと」と感じるのではないかと思いますが、さまざまなジャンルでさまざまな意見を持つ人たちが話し合い、男女関係なくたった一人のモヤモヤを解消することで、社会全体に暮らしやすい環境が波及していくと考えたら、案外身近なのかも?と思えてくるような気がしませんか。
■子育てと男女共同参画とはどうつながっていますか?
当センターのような「男女共同参画センター」は、都道府県や市区町村が制定した条例等に基づいて設置されています。そのセンターが関わる分野として【図1】の分野がありますが、これらはどの分野もすべて子育てとつながっています。
たとえば教育面では、科学分野など理数系に進む女性はいまだに少ない現状がありますし、先生に「女子は理数系が苦手」といったバイアスがあると、口にしなくても生徒の進路選択に影響するという調査結果があります。
また経済においては、男女の賃金格差、雇用格差があり、それが夫婦間でのDVにつながる一端ともなります。シングルマザーとなった場合にはそれらの格差も原因となって、経済的に困窮しやすく、心身の健康にも影響を与えます。
性暴力の多くは、性欲からではなく、支配欲から起こると言われています。つまり、一方が支配的(ジェンダー不平等)であると、性暴力は起きやすいのです。
また防災面においては災害における死亡率は女性が高く、その一因には避難生活での性暴力の不安やプライベート空間の少なさなどの大きなストレスがあります。災害時に母子ともに安心できる環境を維持するためには、男女共同参画の視点は欠かせません。
性別役割分担意識が、よく言われる「ワンオペ育児」の要因となることがあります。日本の男女の家事時間格差は【図2】のように非常に差が大きく、女性の方が家事に費やす時間が長くなっています。
これらの例だけを取ってみても、「男女共同参画」は全てにおいて子育てと関わっています。
家庭は小さな社会です。「男性だからいい、女性だからだめ」ではなく、人としてどちらがいいのかという基準で子育てをしていくことが、男女共同参画が実現していく第一歩だと考えています。
■配偶者をなんて呼ぶ!?
インタビューの中で土方所長から「パートナー」という言葉が出て、クワイエメンバーたちで「配偶者をなんて呼ぶ?」というお題が始まりました!
日本では「旦那さん」「奥さん」あたりが多いのではないかと思うのですが、「旦那=自分の仕える主人」「奥さん=人前に出ることの少ない奥まったところにいる人」といった、漢字から読み取れる意味が加わってしまうため、英語も含めてみんなでいろいろな呼び方を考えてみました。
・パートナー ・妻さん、夫さん(これはなんか変?) ・ワイフ ・かみさん ・相方 ・子猫ちゃん ・マイスイートハート♡ ・ハニ~♪ |
最後は大笑いしながらも、「でも『ハニ~♪』って呼ぶとケンカが減りそう」という結果に落ち着きました。
次の記事「『ほっと越谷』を取材しました!<その2>~『ほっと越谷』施設紹介~」では、「ほっと越谷」の施設やイベントなどについてうかがいました。
(2025年3月 byクワイエメンバー マユ、やまぴー、ゆきだるま)