2015年11月19日、児童館コスモスで、講座「ゆる育児~がんばりすぎない子育て~」が行われ、2歳までのお子さんを持つ、20組以上の親子が集まりました。
(主催:越谷市男女共同参画支援センター「ほっと越谷」/共催:児童館コスモス)
3月にも同様の講座が行われ、終了後には大変多くの反響が寄せられました。
その第2回目となる今回は、なんと募集から3日で定員に達したそうです!
■第1回目(2015年3月)の様子■
「ゆる育児」~がんばりすぎない子育てのススメ!~【講座編】
「ゆる育児」~がんばりすぎない子育てのススメ!~【Q&A編・その1】
「ゆる育児」~がんばりすぎない子育てのススメ!~【Q&A編・その2】
◆講師・落合香代子さんのプロフィール◆ |
ポジティブ・ディシプリン(肯定的しつけ)とは?
「セーブ・ザ・チルドレン・スウェーデン」と、カナダの児童臨床心理学者ジョーン・デュラント博士が開発した子育てワークで、スウェーデンの子育てからヒントを得た、非暴力に根差した、しつけ・子育ての効果的な方法です。
(セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンのポジティブ・ディリプリンについてはこちら)
手をあげたり、怒鳴ったりするのではなく、したい放題にさせるわけでもなく、日々の課題に子どもと同じ目線で向き合い、自信とちからをのばしていく、という、0歳から18歳までの子どもの子育てガイドで、特に脳科学的研究を元に、子どもの発達段階を理解することを特徴の一つとしています。
子どもの発達段階を知ることは、親の側が心の余裕を持つためにもとても大切なことです。
(1人目のお子さんより、2人目、3人目のお子さんの方が、あれこれ心配や先回りをせず、ゆったりとした気持ちで子育てできるという話はよく聞きますね。)
私が「ゆる育児」を広めているワケ
まず、落合さんがポジティブ・ディシプリンと出会ったきっかけについて、聞いてみましょう。
ある日、小さいお子さんがお父さんから暴力を受けているところを目の当たりにしました。
その時、私は少し声をかけたのですが、あまりしつこく話しても、そのお子さんが余計に暴力を振るわれるのではないかという恐れもあり、名前も住んでいる場所も聞くことができず、適切に対処することができませんでした。
そのあと、「自分は本当はあの時何ができたんだろう、これから何をしていったらいいのか」、ということを、ずっと考え続けていました。
そんな時に、NHKで『ニルスの国の子育て』という番組が放送されました。
「ニルスの国」というのは、児童文学『ニルスのふしぎな旅』が生まれた国、北欧スウェーデンのことです。
スウェーデンでは、1979年から、子どもに対するあらゆる暴力・体罰を一切禁止しており、そのため、子どもとの対話を重視したしつけを行っている、という内容の番組でした。
その後、多くの親御さんたちの「私もこんな子育てがしたい」という声があふれているのを見て、「虐待の予防につながるのは、対話を重視したしつけを取り入れることなんだ」と思い至り、子どもへの暴力を見た時に生まれ考え続けてきた疑問、「自分は本当はあの時何ができたんだろう、これから何をしていったらいいのか」に、この「スウェーデンの子育て=対話を重視したしつけ、を広めていく」という答えを見つけました。
そしてさらに、私自身がスウェーデンの子育ての魅力だと思う点は、「子どもの生きる力を育みながら、ゆるやかな子育てができる」というところなのです。
なになに!?子どもの生きる力を育みながら、親もゆるやかな子育てができる??
どんどん興味が広がります!
ここからさっそく、スウェーデンの子育ての考え方を知る、「ポジティブ・ディシプリン」のワークに取りかかります。
セーブ・ザ・チルドレンのポジティブ・ディシプリンは、17時間半のプログラムで構成されていますが、今回の講座では、その入門編をワークショップ形式で体験していきます。
グループでワークショップを体験してみます
4~5人ごとのグループに分かれ、もぞう紙と付箋が配られたところで、1つ目の課題が出されました。
あなたの家のいつもと同じようなある朝のことです。 お子さんは学校に行く支度をしていますが、出かける時間がどんどん迫ってきます。 この朝、あなたがお子さんに今すぐやり遂げてもらいたいことは何ですか? |
付箋に各自が思いついた事を書き、もぞう紙に張り付けていきます。
「ごはんを食べること」、「洋服を着ること」、「顔を洗う、歯磨きをすること」、「お片づけをすること」…などなど。
皆さん、悩みながらもたくさんの意見が出されていきます。
次はこんな課題が出されました。
お子さんの様子をうかがうと、支度をするどころか、まだテレビを観ています。 このようなイライラした差し迫った場面で、あなたはどうなりますか? |
皆さんの意見は、「イライラしながら怒る」、「頭ごなしに怒鳴る」、「にらむ」、「落ち込む」…などなど。
落合さんは、「自分に余裕がなかったり、別のことでストレスを抱えている時は、いつもだったら許せるようなことでも、本来自分がしたい反応(行動・対応)とは、つい違うことをしてしまうことがあります」と言います。
「ストレスは誰でも体験していることであり、ストレス自体をなくすことはできません。
(「結婚」や「旅行」などの楽しいことでも、ストレスの元になるそうです。)
子どもに対して、本来自分のしたい反応をするためには、どのようにストレスを作る状況を回避するかを考えることも大切です」と落合さんは語ります。
次に、最後の課題が与えられました。
お子さんが20歳になったとき、どんな人に成長していてもらいたいですか? |
お子さんの将来の理想像は、「自分の意見をしっかり持っている人」、「思いやりを持っている人」、
「自分で考えて行動できる人」、「いつも笑顔で話せる人」、「嘘をつかない人」…など。
築いていたいと思い描く親子関係は、「一緒に買い物に行ったり、何でも話せる関係」、「お互い自立して、困った時は助け合える関係」、「大人対大人の意識をもった関係」、「笑顔で一緒にごはんを食べていたい」…などなどでした。
この課題で出てきた『長期的目標』は、自分の子どもに「どうなってほしいか」、「どうあってほしいか」という思いです。
その長期的目標が達成されるためには、自分が子どもへ日頃からどういう姿を見せるのか、ということがとても大切になります。
2つ目の課題のように、自分が切羽詰まったり余裕がなくなるといったピンチの場面は、本来の自分が取りたい対応と違った対応(怒鳴る、叩くなど)を取りがちですが、逆にとらえると、むしろそういった時こそ親自身が、子どもに「どうあってもらいたいか」というモデルを見せるチャンスでもあるのです。
「ゆる育児」を始めてみよう
グループでのワークショップが終わり、落合さんから「ゆる育児」についてのまとめのお話しで締めくくりになりました。
子どもの気持ちというものは、「子どもにきいてみなくてはわからない」ものです。
(例えば、床を水浸しにしていた→「ママにほめてもらおうと思って」とお皿を洗っていた、
絵本を巻き散らかしていた→泣いていた妹の好きな絵本を読んであげようと思った…などなど。)
私たちは大人になるにつれて成長し、子どもの時とは考え方や感じ方が変わり、子どもの気持ちを忘れてしまいます。それは自然なことです。
もう一度「子どもに教えてもらう」ということを意識していけると良いですね。
また、子育てしていく上で、「私がこの子をしつけなきゃ」「私が教えてあげなきゃ」という気持ちが出てきますが、そうではなく、「子どもは子どもで育っていくし、いつかは覚えていくだろう、まぁいいや♪」と気楽に考え、「子育ては時間がかかるものだ」と思って、様子を見守るということも大切です。
引き続き、「ゆる育児」~続・がんばりすぎない子育てのススメ!~【Q&A編】では、スウェーデンの現状や、「ゆる育児」の新たな広がりなどについて、講師の落合香代子さんに伺っていきます。
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(2016年1月 byクワイエメンバー fika)