コロナ禍により入学から1年間のオンライン授業を経て、新たな場所、越谷市で大学生活をスタートしたH.Kさん。
学生ボランティア団体MAGO(以下「MAGO」)の活動を通じて地域との関わりを深めてきました。大学生活を過ごしてきた越谷市についてお聞きしました。
茨城県の出身で、大学進学をきっかけに越谷市に引っ越してきました。社会福祉学を専攻していて、主に地域福祉と高齢者福祉を学んでいます。所属していた「MAGO」ではサークル長を務め、地域のご高齢の方との交流を大切にしてきました。
入学式が中止になったところから大学生活はスタートしました。その後、緊急事態宣言が出て、1年間は大学に一度も行けませんでした。茨城県の実家からは出られない、同級生や先生に会えないままオンラインでの授業が続いて引きこもりがちになっていました。想像していた大学生活とは全く違いました。
2年生になって、越谷に引っ越してきてからは少しずつ対面授業が始まり、友だちと同じ教室で授業を受けることができて、すごく嬉しかったです。先生が目の前にいて質問ができるし、友だちと雑談ができるし、大学に通えるのはありがたい環境だと思いました。
それでも、週1回しか外出する機会がなくて辛くなることがあったので、ちょっとした楽しみを頑張って見つけるために、自宅に届いた地域のイベントのチラシを見て、友だちを誘って遊びに行っていました。
そうしているうち、大学周辺にどんな施設があるのか、どんな方が暮らしているのか、様子を知ることができました。
MAGOの活動は、『日々の暮らしに笑顔を』という理念のもと、地域にお住まいの高齢者の日々の生活に寄り添い、お手伝いをすることを目的とした学生ボランティア団体です。
大学受験のときからボランティアサークルに興味があったので、入学したら所属する予定でいましたが、コロナ禍でどのサークルも活動をしていなかったので、1年生の前半はサークルの所属を全く考えずに過ごしていました。
同じ年の秋頃にMAGOが説明会を開催すると知って参加してみたら、顧問の小川先生や先輩方の人柄に惹かれて、MAGOに入ることを決めました。
コロナ前は高齢者のご自宅に伺ってお手伝いをする活動がメインだったと聞いたのですが、コロナ禍では直接訪問することは難しく、所属したばかりの頃はオンラインで高齢者の方々と交流していました。
私たち学生は授業でパソコンを使うので慣れていますが、ご高齢の方は使い方が分からなかったり、音が聞き取りにくかったりすることも多く、基礎的なところからサポートが必要だと感じました。
コロナ後は屋外で交流する取り組みを再開したいと考えていたので、私がサークル長を引き継いでからは、大吉公園までのお散歩と越谷梅林公園でのお花見を実現しました。スマホを持っている方には写真の撮り方を教えたりもしました。
私が所属していた頃は、コロナ禍での活動がほとんどだったので、先輩方がコロナ前に行っていた活動に対する想いを受け継ぐという強い気持ちを持っていました。後輩の皆にはその想いをさらに引き継いで活動を続けていってほしいです。
越谷市社会福祉協議会や、越谷市地域包括支援センター、自治会との繋がりがあって、活動の幅がぐっと広がると実感したので、団体の皆さんには今後もMAGOの活動の可能性を引き出していただけるような繋がりや、私たちのお手伝いを必要としている方に届けられるような関係性が続いていくといいなと思っています。
こちらに住み始めた頃、出歩いている方が多いという印象を受けました。私がアルバイトに向かう時間にウォーキングをされている4人組がいたり、お子さんと手を繋いで歩いている親子がいたり、地域の皆さんが外に出たいと思える素敵なまちなんだと感じたことを覚えています。
些細なことなんですけど、夕日が綺麗な日に私は立ち止まって写真を撮ることがありますが、ふと周りを見たら、スーツを着た人や、おじいちゃんおばあちゃんが同じように写真を撮っていることに気づきました。自然を楽しめる、余裕を持てるまちって素敵だと思いました。この地域は、ゆったりと過ごされている方が多くて、私も穏やかな気持ちになります。
大学の近くにある大きな池(西大袋調整池)がお気に入りです。池の周りにある桜並木が満開になると、一面が桜のじゅうたんのようになるので、毎年楽しみにしています。
この大吉公園もお気に入りで、昨年の同じくらいの時期にMAGOのウォーキング会で来た思い出の場所です。
当時授業で来られなかった小川先生にこの光景を見てもらいたいと思って、今日はお誘いしました。ウォーキング会は、コロナ禍での行動制限がなくなり、やっと開催できた屋外のイベントでした。紅葉の時期に合わせるために、時間をかけて計画を立てたので、当日はとても綺麗な紅葉を見ることができました。参加された方がすごく喜んでくださったので、印象に残っています。
サークル活動を通じて出会った地域の方々にまちなかで話しかけられることがすごく増えたんです。
自分から一歩外に踏み出してみると、色々な人と繋がれることを実感しました。ちょっと勇気を出して外に出てみるとか、地域に関わってみることで関係が広がり、楽しいことがいっぱいあるのではないかと思います。
越谷市は「自然がたくさんあって、人の温かさを感じるまち」
大学の周りはすごく自然があるんですが、駅の近くに行くと色んな人がいて色んな人の声が聞こえるので、楽しいまちだと思います。
越谷市は「学生に優しく、友人との思い出を作れるまち」
大学までの道に県立大生に優遇してくれるお店があって、そういうところが良いと思います。
越谷市は「新しい方を受け入れようとする包容力があるまち」
市内には埼玉県立大学の他に文教大学などがあり、学生が多いまちです。
学生が多いまちゆえに、世代を超えた交流や、多世代がどのようにまちづくりを一緒に行っていくかを真剣に議論する場があり、地域共生が図られていると思います。
ボランティアとして活躍されている高齢者の方などもまちづくりに寄与されていて、その活動場所である市民活動支援センターなどを利用して、多世代が交流できる機会がもっと増えたら良いですね。
「やさしさが連鎖していくまち」
思い描いていたものとは違う形でスタートした大学生活でしたが、サークルでの活動を経て、今では市内での生活を心から楽しんでいることが言葉や表情から伝わってきました。地域の方々との交流を通して、人の繋がりを実感し、穏やかな気持ちになれる。越谷市は新生活を始める学生に住みやすいまちと感じました。
埼玉県立大学は、平成11年に保健医療福祉領域の専門職を養成する公立大学として越谷市に開設。保健医療福祉学部に看護、理学療法、作業療法、社会福祉子ども、健康開発の5学科を設けるほか、保健医療福祉学研究科(大学院博士前期・後期課程)を設置し、埼玉県内を中心に保健医療福祉に貢献する人材を輩出している。
複数の専門職が協働してケアを行う「専門職連携」教育に注力しており、県内3大学(埼玉医科大学・城西大学・日本工業大学)と合同で行う臨地実習を必須科目としていることが特長。
本市とは平成21年に包括協定を締結しており、子どもたちが大学で講義を受ける「子ども大学」や、住みたいまちとするための「市長と学生との懇談会」など、さまざまな取り組みを実施している。
大学データ
※令和5年5月1日現在