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「ゆる育児」~がんばりすぎない子育てのススメ!【Q&A編・その2】

ページ番号1677です。 2022年10月26日

「ゆる育児」~がんばりすぎない子育てのススメ!【Q&A編・その1】では、講師の落合香代子さんに、色々な「ゆる育児」の疑問・質問にお答え頂きました。
【Q&A編・その2】でも、まだまだたくさんのお話をうかがいます。

Q ポジティブ・ディシプリンと日本の子育て観の違いについて教えてください。

遠くまで

「子どもは親に期待されているとは知らずに生まれてくる」
子ども自らの成長する時間を保障し、親は子どもに必要な時に最良な導きをする。
それには子どもの声を聴くことが何よりも大切である、という考え方だと思います。
ポジティブ・ディシプリンでは「子どもの人権」の考え方がベースになっています。
(子どもの人権は1989年に国連で制定されました。日本も批准しています。)

北欧やヨーロッパでは、「個人の尊重」と「人権」という考え方を非常に大切にしています。
人権意識を大切に考えるスウェーデンでは、1歳から就学前教育が始まります。
その中で、男女平等、人権という考え方を取り入れていきます。
スウェーデンで生まれたポジティブ・ディシプリンは、この「人権」の考え方が取り入れられているのが特徴です。
「人権」についても体感できるペアレントトレーニングは他にはありません。

一方、日本では「人権」教育はすすんでいるとは言えない、と思います。
私たちは「道徳」という教科で、社会のルールや人との関わりについて学んでいきます。
「個人の考え」「個人を尊重する」に重きを置く北欧とはここが大きく違うところだと思います。
「自分の考えを伝えること、自分の考えを周りに理解してもらう表現力」に力を入れる北欧文化と、一方、日本は人の気持ちを察することを重視し、「協調性」「和」を重んじる。
日本の考え方もまた大切ですが、「協調性」と「和」が個人よりも前に来てしまうと、「個性」は押しつぶされてしまうように思います。

Q ポジティブ・ディシプリンを実践していく上で、最も大切なことは何でしょうか。

逆上がり

ポジティブ・ディシプリンでは、子どもには子どものペース・意思があることを0ヶ月の赤ちゃんの時から認めています。
子どもの思いを聞き、その上で親は、失敗することもあっても、子どもに今最良と思う導きをすることが大切だと考えられています。
ポジティブ・ディシプリンに出会って、まず子どもの思いを推察したり、耳を傾けていくことが大切である、ということを私自身が学びました。
子どもは、たとえ小学生・中学生になっても、自分の思いを言葉で十分に説明することはできないことが多いかと思いますが(大人だってそうですよね)、それでも子どもの声を聴くということを自分の中に一番に置いておくことが大切なんだ、と思えました。
「答えはわからなくてもいい」問いかけ、待つ。共に考え、見守る。本人が自分で気づく。
子どもが考える時間を提供すること。そして親も待つ。
これがなかなか難しい。
これは私たちも、子ども時代にそうした「待つ」対応をしてもらうことを体験してきていないからではないかと思います。

子どもが「自ら考え、自ら気づく」には時間がかかります。
答えをすぐに出さなくてもいい、と親が「待つ」姿勢を見せることが大切だと思います。
親が「待つ」ことで、子ども自らが考え、気づき、行動する、というプロセスを子ども自身で歩んでいけること、そのとき親である私たちにできることは、子どもにはできない大人としての協力、導き(情報や知識を与え、時には子どもの思いを尊重しながら諭すこと)である、ということをまず知る事、そして親も体感することが大切だと思います。

Q 現代の日本社会と北欧の環境には大きな差がありますが、「ゆる育児」をどのように取り入れていけるでしょうか。また、その際に起こる問題に、どのように対応していったらよいでしょうか。

夕陽の海辺

ゆる育児とは、「完璧にできなくていい、誰かに頼っていい」今、新しい子育て文化です。
現在の日本では、北欧社会のように、子育て当事者が余裕の持てる生活を保障されている社会では無い、という面があるので、「子育ての中のイライラやストレスを、すべて自分だけで解決することは難しいのだ」と認めることも大切なのかなと思います。
自分ひとりのことだけでも大変なところに、家族が増え、支援が必要な(手がかかる)子どもが増えれば、当然自分の負担は大きくなります。
その時に、自分だけで何でもしようと思わないこと、自分だけで思っているようにするのは難しいのだ、と認めることも大切だと思います。
「頑張れば頑張るだけ結果がついてくる」という体験を子どもの頃から繰り返してきた私たちにとって、最初から「できないと諦める」というのはとても難しいことです。

でも、少し考え方を変えて、子育ての中で、子どもとわたしとの関係の中で、「これをすることはほんとうに今必要なのかどうか」を吟味する機会がきた、と思えるといいのかなと思います。
家族という守る人が増えても、私の時間は限られているのですから。
具体的には、掃除をしない日や洗濯物がたためない日があっても良いと思うし、子どもの遊びに付き合って夕飯の準備が十分にできなくても良いと思います。
家庭の中で、優先順位の中で、何を自分は諦められるか。
すぐに諦めることはできなくても、ここは諦めることができるかもしれない、と想像しておくことも大切かなと思います。

「完璧にやる必要は無いし、完璧にはできない。完璧にできなくても大丈夫なんだ」という体験を、私たちも子育てを通じて経験することも大切だと思います。

Q 「厳しく言わないとやらない癖」がついてしまっている親子のやり取りは、どうしたら変えられますか。

「厳しく言わないとやらない癖」がついているという思いを、まずは自分の中に一度しまうことかな、と思います。
子どもに問いかけ、考えさせ、気づかせる。
その間に親は「待つ」。
「待つ」と自分の中で決めることが重要で、そして「待つ」という体験を重ねることだと思います。
「待つ」体験を重ねるなかで、子ども自身が自分で判断し、自らやり遂げる力があることを知る、素晴らしい瞬間を見届けることだと思います。
「待つ」ことは辛いことですが、自らその素晴らしい瞬間に立ち会う機会をなくしてしまうのはもったいないと思います。
また、時間などの環境によって、どうしても「待つ」ことが難しいときもあると思います。
その時は、その子どもにできることだったのかどうかを考えて親が手伝うことも必要だと思います。

Q ポジティブ・ディシプリンを始めるのに、遅すぎる(手遅れ)ということはありますか。

ポジティブ・ディシプリンは0歳から18歳までの子育てガイドです。
いつからでもはじめられます。

また、ポジティブ・ディシプリンを学ぶことで、過去の子育てや私たち自身の育ちを振り返ることができます。
今まで経験した中では、ポジティブ・ディシプリンを知って、「成人したお子さんに謝りたいと思った、今の気持ちを伝えたいと思う」とおっしゃった方もいらっしゃいました。
子どもとわたしの関係を見つめ直すことに、遅いはありません。
「変わりたい」と思った時からもう始まっています。大丈夫です。

Q ゆる育児キャンペーン」では、今年はどんな活動をする予定ですか。また、「ゆる育カフェ」は越谷市からでも参加できますか。

ゆる育児2014表 ゆる育児2014裏
ゆる育児キャンペーンでは、毎年11月の児童虐待防止推進月間に「ゆる育児キャンペーン」を実施しています。
子育てに関する講演会、ワークショップなどを開催します。
(上:2014年「ゆる育児キャンペーン」のチラシ)

また、一昨年からは、江東区、文京区、足立区の3カ所では「ゆる育カフェ」を開催しています。
0歳児の親向けのアクティビティ、お母さんが関心を持つことでの集まり、今は英語や、このポジティブ・ディシプリンのワークをやっていますが、様々な活動を通じて、子育て中の方々と「私のゆる育児」を体感していただける場を増やしたい、と思っています。
参加はもちろん、どの地域の方でも大丈夫です。

Q 子育て中の親御さんに、メッセージをお願いします♪

私自身も6歳と今月8歳になる子どもの子育て中です。
私自身が、このポジティブ・ディシプリンを知る事で、子どもへの対応、導き方、子どもとの時間の過ごし方が変わりました。
ポジティブ・ディシプリンに出会ってよかった!」私の心からの思いが、ポジティブ・ディシプリンをお伝えしている原動力になっています。
「待つ」の後に体験する「子ども自ら考え行動する」を見る感動の瞬間を、是非体感されてください。

最後に…

この日、落合さんからとても素敵な詩のプレゼントがありました。
毎日の育児でお疲れ気味のお母さんたち!
ぜひこの詩を読んで、一緒にゆるやか~にがんばりましょう♪

『今日』(伊藤比呂美 訳)

今日、わたしはお皿を洗わなかった
ベッドはぐちゃぐちゃ
浸けといたおむつは
だんだんくさくなってきた
きのうこぼした食べかすが
床の上からわたしを見ている
窓ガラスはよごれすぎてアートみたい
雨が降るまでこのままだとおもう
人に見られたら
なんていわれるか
ひどいねえとか、だらしないとか
今日一日、何をしてたの? とか

わたしは、この子が眠るまで、おっぱいをやっていた
わたしは、この子が泣きやむまで、ずっとだっこしていた
わたしは、この子とかくれんぼした。
わたしは、この子のためにおもちゃを鳴らした、それはきゅうっと鳴った
わたしは、ぶらんこをゆすり、歌をうたった
わたしは、この子に、していいこととわるいことを、教えた
ほんとにいったい一日何をしていたのかな
たいしたことはしなかったね、たぶん、それはほんと
でもこう考えれば、いいんじゃない?
今日一日、わたしは
澄んだ目をした、髪のふわふわな、この子のために
すごく大切なことをしていたんだって。
そしてもし、そっちのほうがほんとなら、
わたしはちゃーんとやったわけだ。

※伊藤比呂美さん訳の本『今日』 福音館書店のページはこちら

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編集後記
「子どもを待つ」って、できそうでできない。簡単なようでいて、とても難しいことだと実感しています。
乳幼児期の頃はなんでも、何をするにも見守ってあげれていたのに、年齢が上がるにつれ、学年が進むにつれ、子どもの失敗や行動に、早急な答えを求めてしまう。。。
これではいけないな、と自分でもわかっているけど、先走って怒り、言い過ぎてしまう。。。
落合さんのお話は、いまの自分と重ね振り返ることができる貴重な体験でした。
この講座がもっと子育ての現場に広がればいいと思います。ありがとうございました。(れいなママ)

子どもが生まれて今まで、目の前の子どもの姿に一喜一憂する毎日でした。
講座の中で子どもの20年後の姿を想像し、長期目標をたてることで自分がするべきことを見直すキッカケになりました。長期の目標なら自分に余裕がもてそうです。
親も幸せ♪子どもも幸せ♪な子育てを目指してポジティブ・ディシプリンをもっと知りたいと思いました。(ゆきだるま)

息子が悪さをすると「ゴチン」とやることがあります。息子も私のイラッに気付き頭を押えて逃げて行きます。
以前は追いかけて行って「ゴチン」騒ぐ息子に声を荒立てて叱る。これではいけないな・・・と思いつつも。
しかし、今の私は少し違います。逃げて行く息子の後姿をグググッと堪え顔で見送っています。(笑)
息子の方が「あら?ゴチンこない。おかしいな」と拍子抜けした顔をしています。
感情的になり叱ったところで子どもには伝わりにくい。効果的ではない。
波風立てない事でお互いに冷静に振り返る事ができるのだと気付きました。
「ゆる育児」に出会い早くも変わってきてます。プンプン怒ってばかりの日々から抜け出せる気がしています。
スウェーデン育児の素敵な所が日本の環境に馴染んだら素晴らしいですね!(ミサペイ)

ずっと「子育てには、怒鳴ったり時には叩いて教えたりすることは、つきものだ」と思っていました。
普段は叩かなくても、最終手段として「叩く」行為を取っておく気持ちがあったり、周りの目を気にして、ポーズとして(きちんとしつけをしている親をアピールするため)怒鳴って叱ってしまったりということもありました。
でも今回、「ゆる育児」やポジティブ・ディシプリンを知って、
それは思い違いだったのかもしれないと思い始めています。
少しずつ、「こうあるべき」という気持ちをゆるめて、子どもの気持ちに寄り添い「待つ」ことができるように、ゆる~く(←ここが大事ですね!)がんばっていけるといいなと思いました。(fika)

(2015年4月 byクワイエメンバー れいなママ/ゆきだるま/ミサペイ/fika)

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子ども家庭部 子ども施策推進課 (第二庁舎2階)
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ファクス:048-963-3987

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