更新日:2016年2月24日
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平成28年度教育行政方針
平成28年度教育行政方針
昨年12月、越谷市民である梶田隆章さんが、素粒子ニュートリノに質量があることを示す「ニュートリノ振動」という現象の発見により、ノーベル物理学賞を受賞されました。
受賞に際してのコメントの中で、「最後まであきらめないという強い心と、家族や恩師、研究グループの仲間などの支えがあってはじめて自分の夢を実現することができた」という旨のお話をされておりました。
人生において、失敗や困難にくじけず、夢や希望を持ち続けることは、容易なことではありません。梶田さんがおっしゃっているように、夢を実現するためには、自らの地道な努力はもちろんのこと、周りの人たちが支え、力を出しあうことが重要です。将来を担う子どもたちが、梶田さんのように夢に向かって努力し続けられるよう、教育委員会と学校・家庭・地域が一つになって社会全体で見守り、育てる必要があることを改めて認識したところです。
こうした視点も踏まえて、本市では、平成28年度からスタートする「第2期越谷市教育振興基本計画」におきましても、今後の教育行政を総合的かつ計画的に推進するため、「生涯学習社会の実現をめざす」という基本理念のもと、だれもが夢に向かって輝いていけるよう、学校教育、生涯学習、生涯スポーツの3つの基本目標を柱に、教育施策の一層の充実と効果的な推進に努めてまいります。
それでは、以下、第2期越谷市教育振興基本計画の基本目標に沿って主要な施策を申し上げます。
まず、基本目標1の「生きる力を育む学校教育を進める」について、申し上げます。
これからの学校教育では、日々変化する社会を生き抜くために、子どもたち一人ひとりが主体的に学び、考え、問題解決できる力を育成するとともに、道徳心や郷土愛、思いやりといった豊かな心を育むことが求められています。このことから、学校・家庭・地域が連携し、「確かな学力」や「健康な心と体」の育成といった目標を共有しながら、一体となって取り組むことで、生きる力を育み、夢に向かって粘り強く学ぶ子どもの育成に努めてまいります。
学校教育における主要な施策ですが、ICTを活用した教育については、 児童生徒の学力の向上やプレゼンテーション能力の育成のため、ICTを活用した、より分かりやすく魅力ある授業を行うとともに、児童生徒が電子黒板やパソコン等を効果的に活用して自らの考えを発表する機会の充実に努めてまいります。また、情報モラル教育については、児童生徒がパソコンや携帯電話等を正しく有効に活用できるよう、教職員研修の充実とともに、授業での指導をはじめ、生徒自身の手による主体的な市内共通ルールづくりなど、家庭・地域を対象とした啓発活動を、引き続き、行ってまいります。
学校図書館については、児童生徒の読書活動を一層推進するため、専門の資格を有する学校司書を市内全小中学校に配置するとともに、司書教諭や学校図書館運営ボランティアとの連携強化を目的とした研修会を実施してまいります。
小中一貫教育については、学力の向上・中1ギャップの解消・自己肯定感の高揚をねらいとし、9年間を見通した連続性のある系統的な指導を行うため、市内全校について各中学校区を単位に、5年間にわたり毎年、研究指定・研究委嘱を行ってまいります。今年度はその2年目として、各校の研究・実践を支援してまいります。また、各種学力学習状況調査の結果を活用し、指導内容および指導方法の工夫・改善に取り組んでまいります。
環境教育については、越谷生物多様性子ども調査を小学校全30校において、引き続き、実施するとともに、環境教育資料「しらこばと」を積極的に活用するなど、環境問題を意識した教育活動を推進してまいります。
伝統文化を尊重し国際性を育む教育については、我が国や郷土の伝統文化を理解し大切にする心を育成するため、小中学校へ地域の郷土芸能等に関する指導者を派遣してまいります。また、小学校における英語の教科化を見据え、新たに小学校教職員の指導力向上を目的とした研修会を実施するなど、児童生徒の英語への興味・関心やコミュニケーション能力を高めるための取り組みを推進してまいります。
防災教育については、児童生徒が自らの判断に基づいて行動し安全を確保できるよう、市内各小中学校における防災学習や防災訓練の実施を支援するとともに、全小中学校が防災教育に一体となり、「(仮称)学校防災の日」の制定に向けて取り組んでまいります。さらに、暴風雨、大雪などの自然事象により登下校時の児童生徒の安全を確保することが難しいと予想される場合、市内一斉対応、または学校ごとの判断による対応について、その判断基準や連絡体制、周知方法を見直すなど、改善に努めてまいります。
心の教育については、児童生徒の豊かな心を育み、実践を通して理解を深めるために、農業体験活動など各学校や地域の実態に応じた体験活動の充実に努めてまいります。また、いじめや不登校の未然防止のため、「越谷市いじめ防止基本方針」を踏まえ、各学校の「いじめ防止基本方針」の見直しをはかり、積極的な生徒指導の推進により、引き続き、きめ細かな生徒指導体制の充実に努めてまいります。
教育相談については、一人ひとりが明るく楽しい学校生活を送ることができるよう、教育センターと各学校の連携のもと、スクールソーシャルワーカーや学び総合指導員を学校へ派遣するなど、相談体制の充実に努めてまいります。また、不登校児童生徒への支援については、教育センターにおける相談員による支援のほか、適応指導教室「おあしす」における学び総合指導員の活動など、児童生徒の自立や学校生活への復帰に向けた取り組みを推進してまいります。
学校教育における人権教育については、人権に関する知的理解だけでなく、自分の大切さとともに他の大切さを認めることができるような、児童生徒の発達段階に応じた豊かな人権感覚の育成に取り組んでまいります。
健康教育については、児童生徒の健康課題の解決に向け、学校における健康診断の実施のほか、学校歯科医等と連携した研修会を開催するなど、学校保健の充実に努めてまいります。また、児童生徒の現代的な健康課題であるアレルギー対応については、教職員用の「アレルギー疾患対応マニュアル」の作成に取り組んでまいります。
学校給食については、現代の食生活に不足しがちな「野菜」を食育のテーマとし、献立に積極的に取り入れるとともに、野菜の旬やその栄養の大切さを教えることで児童生徒の理解を深めてまいります。また、オリンピックが開催されることにあわせ、「世界の料理」を献立に取り入れ、児童生徒の外国の食文化に対する理解を深めてまいります。さらに、食物アレルギーへの対応については、対応食や特定原材料である卵、乳、小麦など7品目を除いた給食の提供のほか、児童生徒の個別指導および情報提供を行うことで、引き続き、事故防止に努めてまいります。なお、平成28年度は、朝食の欠食状況や食事の内容など、児童生徒の食生活の実態を把握するため、「食事に関する調査」を実施してまいります。
多様な就学機会への支援については、経済的理由により就学困難と認められる児童生徒の保護者に対して就学費用の一部を援助するとともに、高校・大学等の入学資金の調達が困難な保護者に入学準備金の貸付を行い、教育を受ける機会の確保に努めてまいります。また、幼稚園教育への支援については、保護者の経済的負担の軽減をはかり、幼稚園への就園を奨励するため、幼稚園の設置者が保育料等を減免する措置に対して補助金を交付いたします。さらに、幼保小の連携については、幼児期の教育から小学校教育への円滑な学びの接続がはかられるよう、教職員・幼稚園教諭・保育士を対象とした研修を実施してまいります。
特別支援教育については、一人ひとりのニーズに応じた支援を行うため、特別支援学級を適切に設置するとともに、特別支援教育支援員の増員と効果的な配置に努めてまいります。また、個別的な支援が必要な児童生徒に対し全教職員が適切に対応することができるよう、専門家による発達支援訪問を実施してまいります。
安全で快適な学校環境の整備・充実については、児童生徒の安全を守り、安心できる学習環境を確保するため、老朽化の進む施設の計画的な改修や、国庫補助金を活用した繰越事業として、大規模地震に備えた屋内運動場等の非構造部材の改修工事を実施してまいります。また、快適な学習環境を整えるため、普通教室等へのエアコンの整備に取り組むとともに、トイレの洋式化などの施設改修工事を、引き続き、実施してまいります。さらに、通学区域内の児童数の増加に対応するため、川柳小学校に仮設教室を設置するとともに、多忙化する教職員の校務を軽減し、教育の質を向上させるため、学校系ネットワークシステムを運用してまいります。
教職員の資質の向上については、多様な教育課題に対応できる豊かな人間性と確かな指導力を身に付けられるよう、研修方法の工夫・改善を行い、研修の円滑な実施に努めてまいります。
地域に根ざした特色ある学校づくりについては、地域の教育力を活用し、学校・家庭・地域が一体となった教育を推進するため、登下校の見守り活動をはじめ、学習活動や学校図書館運営ボランティア、環境整備や安全・安心の確保など、全小中学校に設置されている学校応援団の活動が一層充実するよう、支援してまいります。
次に、基本目標2の「生涯にわたる学びを充実し、地域の文化を創造する」について、申し上げます。
近年の社会環境や個人の価値観の変化に伴い、自由時間の有意義な活用や生きがいづくりのため、市民の生涯学習に対するニーズはますます高まってきております。こうした中、子どもから高齢者まで、それぞれの興味や関心に応じた生涯にわたる学びの機会を充実させるとともに、学習活動を通して身に付けた知識や人とのつながりなどを、地域社会の活性化に活かしていくことができるような、循環型生涯学習社会の推進に努めてまいります。
生涯学習における主要な施策ですが、生涯学習推進体制については、多様化する市民の学習ニーズに的確に対応し、一人ひとりの自己実現につながるよう、市民との協働や関係機関との相互の連携・協力体制により、生涯学習フェスティバルやこしがや市民大学を企画・運営してまいります。
生涯学習活動については、市民がライフステージ・ライフスタイルに応じて主体的に学ぶことができるよう、公民館における各種学級・講座を開催するなど、学習機会の充実に努めてまいります。また、学習成果を地域社会やまちづくりに活かすことができるよう、生涯学習リーダー・ボランティア養成講座を開催し、人材育成の支援に取り組んでまいります。
社会教育における人権教育については、人権問題に関する正しい理解と認識を深め人権意識の高揚をはかるため、関係機関との連携により講演会や講座等を開催し、人権・同和教育の普及・啓発に努めてまいります。
あだたら高原少年自然の家については、人や自然を思いやる健やかで心豊かな青少年を育むため、学校行事における自然体験学習の場として活用していくなど、施設の利用促進に努めてまいります。
科学技術体験センターについては、科学に対する子どもの興味・関心を高めるとともに、全ての世代の人がその楽しさや面白さを再確認できるよう、中学生から大人までを対象とした科学探検教室を新たに加え、年代に応じた実験や工作などの体験事業を充実してまいります。また、さまざまな得意分野を持つサイエンスボランティアを活用することで、特色ある講座や教室を開催してまいります。
図書館については、みどりに囲まれた本館を中心に、駅近くに立地し利便性の高い3つの図書室の緊密な連携をはかり、一体的・効率的にサービスを提供するとともに、昨年、機能を強化した図書館システムを有効に活用し、資料管理の充実と利用者の利便性の向上に努めてまいります。また、平成26年9月に移設・拡充した南部図書室は、多くの方々に利用され、学習や子育ての支援にも貢献しておりますが、本市の南部地域におけるサービスの拠点として、よりふさわしい施設となるよう、引き続き、蔵書の充実や「こども図書室」の利用推進などに努めてまいります。さらに、学校や市民団体等との連携・協力関係を密にし、すべての学童保育室への移動図書館の巡回を継続するとともに、地区センター・公民館において新たに「おはなし会」を開催するなど、子どもの読書活動を推進してまいります。なお、開館から30年以上が経過している本館については、施設・設備の計画的な改修に努め、長寿命化をはかってまいります。
芸術文化については、市民が日頃の活動の成果を発表できる機会の充実をはかるため、越谷市民文化祭および越谷市美術展覧会の開催や、文化総合誌「川のあるまち」の発行などを行ってまいります。また、越谷コミュニティセンターを快適に利用していただけるよう、大ホールの音響設備を更新してまいります。
特色ある地域文化については、伝統文化への理解を深め、地域に対する愛着や誇りを育むため、こしがや薪(たきぎ)能(のう)やこしがや能楽体験教室を開催し、伝統文化鑑賞の機会や体験の場を提供してまいります。また、郷土芸能を後世に継承するため、越谷市郷土芸能祭や郷土芸能体験教室を開催し、発表と体験の場を提供してまいります。
文化財の保存と活用については、昔の生活様式などを学ぶことができる貴重な歴史資料として後世に継承するため、引き続き、大道遺跡の発掘調査を行い、埋蔵文化財の保護に努めてまいります。また、地域・歴史学習や学校教育等における郷土学習の場として、大間野町旧中村家住宅および旧東方村中村家住宅を活用してまいります。
次に、基本目標3の「生涯にわたりスポーツ・レクリエーションに親しめる環境をつくる」について、申し上げます。
2020年の東京オリンピック・パラリンピックの開催を4年後に控え、市民のスポーツへの関心はさらなる高まりをみせ、いつでも、どこでも、だれもがさまざまなスポーツ・レクリエーションに親しむことができる環境を整えることが重要となっております。こうしたことから、より多くの市民が自分らしく、健康で、いきいきとした生活を送ることができるよう、スポーツ・レクリエーション活動の一層の推進に努めてまいります。
生涯スポーツにおける主要な施策ですが、健康ライフスタイルづくりの支援については、子ども連れでも気軽にスポーツ・レクリエーション活動を始められるよう、スポーツ教室等に臨時保育室を設置してまいります。また、高齢者や障がい者の健康づくりを支援するため、無理なく参加できるスポーツ教室や福祉施設への出前講座を実施してまいります。
スポーツ・レクリエーション活動を支援する体制については、市民との協働によるスポーツ・レクリエーション活動を推進するため、スポーツボランティア制度およびスポーツリーダーバンク制度の周知に努め、登録者数の拡大をはかるとともに、各種大会やイベント、スポーツ教室等における登録者の活用を推進してまいります。
スポーツ・レクリエーション施設については、利用者が安心して快適にスポーツ・レクリエーション活動を楽しめるよう、施設・設備の安全点検や計画的な改修を行うとともに、施設利用に関する情報提供の充実や手続きの簡素化をはかり、体育施設利用の利便性の向上に努めてまいります。また、全国レベルのスポーツ大会の誘致や、東京オリンピック・パラリンピックの練習会場としての招致など、幅広い活用の方法についても検討してまいります。
以上、平成28年度の主要な施策について申し上げましたが、教育改革を推進する「教育再生実行会議」の第七次提言においては、これからの時代を生きる人たちに必要とされる資質・能力として、未知の課題に挑み、解決策を生み出すためには、既存の概念にとらわれない創造的な発想力や企画力、直観力が必要であると述べられております。また、これらを身に付けるためには、慣れ親しんだ環境から離れ、失敗を恐れずに、発想を広げる経験の積み重ねが不可欠であり、果敢に挑むチャレンジ精神とともに、強い忍耐力を養っていくことが求められるとされております。
越谷市教育委員会といたしましては、多様な課題を解決するためには、全ての人が個々の能力を活かし、それぞれの夢に向かって、努力し続けることのできる社会の確立が必要であると考えており、その実現に向け、「第2期越谷市教育振興基本計画」に基づき、さまざまな教育施策について、着実に取り組んでまいります。
結びに、「まちづくりは人づくり」という認識のもと、生涯学習社会の実現をめざして、教育行政の公正かつ適正な運営に努めてまいりますので、議員の皆さま、市民の皆さまには、ご理解とご協力をお願い申し上げます。
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