更新日:2018年2月21日
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平成30年度教育行政方針
平成30年度教育行政方針
昨年11月に開催した、第62回市民体育祭中央大会において、市制60周年記念アトラクションとして、市内高等学校の書道部による書道パフォーマンスが行われました。生徒の皆さんは、越谷市の豊かな自然や伝統文化を大切に守りながら、越谷市が未来に向かって大きく羽ばたいて欲しいという願いを「希望」や「飛翔」という言葉に込めて一生懸命演じてくれました。
大きな可能性に満ちた彼らの姿を見て大変嬉しく感じるとともに、それを支え導いていかなければならない責任の重さを再認識いたしました。子どもたちには、日々変化する社会の中でも、越谷市に生まれ育ったことに誇りをもちながら、将来国際社会で活躍できるよう、自分で考え、行動できる人になってもらいたいと思います。
こうした視点も踏まえ、本市の教育大綱である第2期越谷市教育振興基本計画に掲げる「生涯学習社会の実現をめざして」という基本理念のもと、子どもから大人まで、だれもが夢や希望をもって自己実現を果たすことができるよう、学校教育・生涯学習・生涯スポーツのそれぞれの分野において、教育施策の一層の充実に努めてまいります。
学校教育の分野においては、コミュニティ・スクールの推進など地域に根ざした特色ある学校づくりを進めるとともに、時代に即したICT教育や英語教育など自主性・国際性を育む学校教育の推進に取り組み、自立して生きていくための基礎となる確かな学力と健康な心と体を育みます。
生涯学習の分野においては、市民一人ひとりが、その生涯において目標を見つけ、自己実現を果たすことができるよう、生涯にわたる学びの機会の充実に努めるとともに、生涯学習の担い手となる人材の育成に取り組み、循環型生涯学習社会を推進してまいります。また、伝統文化や文化財などに触れる機会を充実し、郷土への愛着心を育み、地域文化の振興に努めてまいります。
生涯スポーツの分野においては、2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けて日本全体の気運が高まる中、各国の招致活動や選手との交流を通じて、多くの市民が世界を身近に感じ、「みるスポーツ」、「支えるスポーツ」を心から楽しむことができるよう取り組んでまいります。また、これを機会に「するスポーツ」の楽しみについても改めて認識しつつ、健康の維持・向上や健康寿命の延伸をはかることができるよう、スポーツ・レクリエーション活動の推進に努めてまいります。
それでは、以下、第2期越谷市教育振興基本計画の基本目標に沿って主要な施策を申し上げます。
まず、基本目標1の「生きる力を育む学校教育を進める」について、申し上げます。
学校教育における主要な施策ですが、ICTを活用した教育については、児童生徒の学力の向上や情報活用能力の育成のため、ICT機器を活用したより分かりやすい魅力ある授業が行えるようにするとともに、児童生徒の課題にあわせた学習支援ができるよう、自学自習システムの充実と活用をはかってまいります。また、情報モラル教育については、児童生徒がパソコン・スマートフォン等の機器やSNSを正しく有効に活用できるよう、授業や教職員研修、家庭・地域を対象とした講演を行ってまいります。
学校図書館については、児童生徒の読書活動を一層推進するため、専門の資格を有する学校司書を効果的に配置するとともに、その資質向上や司書教諭・学校図書館運営ボランティアとの連携強化を目的とした研修会を実施してまいります。
小中一貫教育については、学力の向上・中1ギャップの解消・自己肯定感の高揚を目的として、小中学校9年間を見通した連続性のある系統的な指導を展開するため、各中学校区を単位として全小中学校へ研究指定・研究委嘱を行い、その取り組みを支援してまいります。また、指導内容および指導方法については、各種学力調査の結果を活用し、工夫改善に取り組んでまいります。
教科用図書の採択については、小学校では道徳以外の各教科、中学校では道徳の教科用図書の採択年度であることから、公正性・透明性を確保した教科用図書選定委員会による綿密な調査研究を行い、教育委員会の判断と責任により適正かつ公正に進めてまいります。
伝統文化を尊重し国際性を育む教育については、郷土への愛着を深めるとともに、平成32年度から始まる新学習指導要領への移行措置として、小学校における外国語活動および外国語科の実施に向けて語学指導助手を増員するほか、小学校教員を対象とした研修会を実施するなど、英語教育の環境づくりを推進してまいります。
防災教育については、児童生徒が自らの判断に基づいて行動し安全を確保できるよう、各小中学校における防災訓練や防災学習の実施を支援してまいります。特に、平成29年度からスタートした「学校防災の日」における全小中学校一斉の避難訓練や引き渡し訓練を引き続き実施し、自助・共助の意識を育てる防災教育を推進してまいります。
心の教育については、よりよく生きるための基盤となる道徳性を養うため、平成29年度に作成した本市独自の道徳副読本を活用し、「特別の教科 道徳」の指導充実に向けて支援してまいります。また、きめ細かな生徒指導を通して児童生徒の自己肯定感を高めることができるよう、教員の指導力の向上を目的とする研修を実施してまいります。
教育相談については、一人ひとりが明るく楽しい学校生活を送り、自己実現をはかることができるよう、相談員やスクールソーシャルワーカー、小中学校等が連携した組織的な相談活動を行うとともに、教育相談サポートブックを新たに作成するなど、相談体制の充実に努めてまいります。また、適応指導教室「おあしす」における学び総合指導員の活動のほか、家庭・学校・フリースクール等と教育センターの連携をはかるなど、不登校児童生徒への教育的支援に取り組んでまいります。さらに、国や県のいじめ防止等のための基本的な方針の改定にあわせた越谷市いじめ防止基本方針の改定や、教員を対象とする出前研修会を実施し、いじめの未然防止・早期発見・早期解消に努めてまいります。
学校教育における人権教育については、人権に関する知的理解のみならず、自分の大切さと等しく他の大切さを認めることができるような、児童生徒の発達段階に応じた人権感覚の育成に取り組んでまいります。
健康教育については、生涯にわたって健康な生活を送るための基礎を培うため、越谷市がん対策推進条例を踏まえた授業を行うほか、中学校において新たに、生活習慣病等の予防に必要な知識および正しい生活習慣の習得をねらいとした講演会を実施してまいります。
学校給食については、ユネスコ無形文化遺産にも登録された「和食」を食育のテーマとし、献立に「郷土料理」を取り入れてまいります。また、「和食」を取り扱う3年間の食育計画を立て、1年目の取り組みとして食事の作法等を含めた「和食の基本」について指導を行うなど、児童生徒の日本の食文化に対する理解を深めてまいります。さらに、食物アレルギーへの対応として、使用している食材や特定原材料である卵、乳、小麦などの7品目が分かりやすい献立表を提供し、家庭への啓発を行ってまいります。
多様な就学機会への支援については、経済的理由により就学困難と認められる児童生徒の保護者に対し、就学費用の一部を引き続き援助してまいります。特に、新入学生徒が中学校入学前に必要とする学用品費については、平成30年度から、入学前支給を実施してまいります。また、高校・大学等の入学資金の調達が困難な保護者に入学準備金の貸付を行い、教育を受ける機会の確保に努めてまいります。
幼稚園教育への支援については、保護者の経済的負担の軽減をはかり、幼稚園への就園を奨励するため、幼稚園の設置者が保育料等を減免する措置に対して補助金を交付いたします。
特別支援教育については、一人ひとりの障がいの特性に応じた支援を行うため、特別支援学級を計画的に設置するとともに、特別支援教育支援員の増員と効果的な配置に努めてまいります。また、個別的な教育ニーズのある児童生徒に対し、すべての教職員が適切に対応することができるよう、専門家による発達支援訪問指導の回数の拡充や、特別支援教育に関する専門性の向上をはかる研修を実施してまいります。
義務教育施設については、児童生徒の安全を守り、安心できる学習環境を確保するため、老朽化の進む施設の計画的な改修を実施してまいります。あわせて、通学区域内の児童数の急激な増加に対応するため、川柳小学校校舎の増築に向けて取り組んでまいります。また、快適な学習環境を整えるため、小学校トイレの洋式化などの施設改修を実施してまいります。さらに、教育の質の向上や校務の効率化をはかるため、校務支援システムの活用を推進してまいります。
教職員の資質の向上については、社会の変化に的確に対応した教育指導の実現をめざし、教職員の資質や指導力を高めるため、研修内容の充実に努めてまいります。また、教職員の健康管理を徹底するため、在校時間の適正な管理やメンタルヘルス対策を実施してまいります。
地域に根ざした特色ある学校づくりについては、地域の教育力を活用し、地域との強い絆で結ばれた学校づくりを展開するため、学校運営協議会を段階的に設置し、コミュニティ・スクールを推進してまいります。また、全小中学校における学校応援団の活動をさらに充実させるため、児童生徒への学習支援を行う退職教員ボランティアや学生ボランティアを活用してまいります。
次に、基本目標2の「生涯にわたる学びを充実し、地域の文化を創造する」について、申し上げます。
生涯学習における主要な施策ですが、生涯学習活動については、多様化する市民の学習ニーズに的確に対応し、一人ひとりが主体的に学ぶことができるよう、市民との協働により、生涯学習フェスティバルやこしがや市民大学を企画・運営するほか、公民館における各種学級・講座を開催するなど、学習機会の充実に努めてまいります。また、学習成果を地域社会やまちづくりに活かすことができるよう、生涯学習リーダー・ボランティア養成講座を開催し、人材育成の支援に取り組んでまいります。さらに、家庭の教育力の向上をはかるため、子育て講座や公民館における家庭教育学級を開催し、家庭教育の支援に努めてまいります。
社会教育における人権教育については、人権問題に関する正しい理解と認識を深め、すべての人が生まれながらにもっている基本的人権が尊重されるよう、関係機関との連携により講演会や講座等を開催し、人権・同和教育の普及・啓発に努めてまいります。
あだたら高原少年自然の家については、子どもたちが自然とのふれあいを通して自立心や社会性を養うことができるよう、スポーツ少年団や社会教育関係団体等への利用案内に努めるほか、市民の手による森づくりを体験する「ふれあいの森育てる集い」を開催するなど、施設の利用促進をはかってまいります。
科学技術体験センターについては、理科や科学に対する児童生徒の興味・関心を高め、未来を担う創造性豊かな人材を育成するため、新たに学習指導要領に加わるプログラミング教育を取り入れるなど、体験事業の充実に努めてまいります。また、子育て世代やシニア世代を対象とした体験事業を平日に実施するなど、それぞれの年代に応じた魅力的な講座や教室を開催してまいります。
図書館については、みどりに囲まれた本館を中心に、駅近くに立地し利便性の高い3つの図書室の緊密な連携をはかり、一体的・効率的にサービスを提供するとともに、それぞれが特色ある蔵書構成となるよう計画的な資料収集に努めます。また、デジタル化資料の提供や、市制施行60周年を記念した資料展示を行うなど、市民の読書活動を推進してまいります。さらに、学校や市民団体等と連携し、「おはなし会」や親子を対象とする講座を充実するとともに、すべての学童保育室への移動図書館の巡回や学校への調べ学習用資料の提供を継続するなど、読書に親しむ様々な機会を設けることで、子どもの読書活動を推進してまいります。
芸術文化については、市民が日頃の活動の成果を発表できる機会の充実を はかるため、越谷市美術展覧会の開催や文化総合誌「川のあるまち第37号」を発行するとともに、越谷市民文化祭が50回目を迎えることを記念し、趣向を凝らしたプログラムを企画してまいります。
特色ある地域文化については、郷土芸能を後世に継承するため、越谷市郷土芸能祭や郷土芸能体験教室を開催し、発表と体験の場を提供してまいります。また、伝統文化への理解を深め、地域に対する愛着や誇りを育むため、こしがや能楽堂を拠点に薪能や能楽体験教室を開催し、鑑賞と体験の機会を提供してまいります。
文化財の保存と活用については、貴重な財産である文化財を後世に継承するため、引き続き大道遺跡の発掘調査を行い埋蔵文化財の保護に努めるとともに、中学生に対して発掘調査の体験機会を提供するほか、出土品等の展示や広報活動を行ってまいります。また、大間野町旧中村家住宅および旧東方村中村家住宅については、郷土の歴史や文化を学ぶことができるよう、昔のくらしを体験できるイベントを開催するとともに、学校の社会科見学や公民館・自治会等の事業における郷土に関する学習の場として活用してまいります。
次に、基本目標3の「生涯にわたりスポーツ・レクリエーションに親しめる環境をつくる」について、申し上げます。
生涯スポーツにおける主要な施策ですが、健康ライフスタイルづくりの支援については、子ども連れでも安心してスポーツ・レクリエーション活動ができるよう、スポーツ教室等に臨時保育室を設置してまいります。また、日頃運動する機会の少ない市民が楽しみながらスポーツを続けられる契機となるよう、スポーツ活動やイベント参加者を対象とするスタンプラリーを引き続き実施してまいります。さらに、ウォーキングを楽しむ方が増えていることから、新方川緑道や元荒川緑道等の整備にあわせ、新たなウォーキングマップの作成に向けて取り組んでまいります。
スポーツ・レクリエーション活動を支援する体制については、市民との協働によるスポーツ・レクリエーション活動を推進するため、スポーツボランティア制度およびスポーツリーダーバンク制度の周知に努め、人材の養成や登録者数の拡大をはかるとともに、各種大会やイベント、スポーツ教室等における登録者の活用を促進してまいります。
スポーツ・レクリエーション施設については、利用者が安心して快適にスポーツ・レクリエーション活動を楽しめるよう、施設・設備の安全点検や計画的な改修を行うなど、環境整備に努めてまいります。また、全国レベルのスポーツ大会の誘致や、東京オリンピックの事前トレーニングキャンプ施設としての利用を促進するなど、幅広い活用を行ってまいります。
以上、平成30年度の主要な施策について申し上げましたが、昨年11月に発表されたOECDの「2015年学習到達度調査」では、チームで問題解決に取り組むための能力「協同問題解決能力」において、参加した52カ国のうち、日本は2位という結果となりました。これは、チーム内の人間関係において「和」を重視する、日本人の国民性が現れた結果といわれております。自分を律しつつ、仲間を感じて思いやりの心をもつことは、子どもたちが将来自らの力で生きていくうえで、とても大切なことであると考えます。
越谷市教育委員会といたしましても、将来を担う子どもたちが自ら夢や希望、目標をもって自己実現を果たすことができるよう、学校・家庭・地域が一体となって子どもたちの学びを支えていける環境づくりが必要であると考えており、その実現に向け、第2期越谷市教育振興基本計画に基づき、さまざまな教育施策を総合的かつ計画的に推進してまいります。
結びに、「まちづくりは人づくり」という認識のもと、生涯学習社会の実現をめざして、教育行政の公正かつ適正な運営に努めてまいりますので、議員の皆さま、市民の皆さまには、ご理解とご協力をお願い申し上げます。
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