更新日:2022年2月18日
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令和4年度教育行政方針
令和4年度教育行政方針
令和3年は7月に平和の祭典である東京オリンピック・パラリンピックが開幕し、東京オリンピックでは日本人選手が過去最高のメダル数を獲得するなど、コロナ禍による影響で人々が分断され、停滞感を感じる中で人々に勇気を与えました。しかし、一方で、新型コロナウイルスの変異株であるデルタ株による急激な患者数の増加により保健所や医療機関の業務が逼迫するなど、令和2年に引き続き新型コロナウイルスの対応に苦慮した1年となりました。
本市においても、学校の臨時休業や分散登校などの対策を行ったほか、各種スポーツ事業や文化事業についても中止や規模を縮小するなど、大きな影響を受けました。新型コロナウイルスについては、引き続き予断を許さない状況であることから、今後も、教育活動において、感染拡大防止に向けた対策が必要となっています。
このような状況の中、教育を取り巻く環境は、急速な技術革新やグローバル化に対応するICT機器やネットワークの増強による学習環境の向上、少子高齢化の進行に対する対策など複雑化、多様化しており、様々な教育分野での取り組みが必要となっております。これを踏まえ、令和3年度からスタートした「第3期越谷市教育振興基本計画」では、「生涯学習社会の実現をめざして」を基本理念とし、だれもが夢や希望、目標をもって自己実現を果たすことができるよう、「生きる力」の基盤を育むとともに、生涯にわたり学んだ成果を地域社会に還元できるような「循環型生涯学習社会」の実現をめざし、学校教育、生涯学習および生涯スポーツの3つの分野でそれぞれ基本目標を掲げ、教育施策の一層の充実に努めております。
それでは、以下、第3期越谷市教育振興基本計画の基本目標に沿って主要な施策を申し上げます。
まず、基本目標1の「生きる力を育む学校教育を推進する」について、申し上げます。
本市の未来を担っていく子どもたちが、自分のよさや可能性を認識するとともに、あらゆる他者を価値のある存在として尊重し、多様な人々と協働しながら様々な社会的変化を乗り越え、豊かな人生を切り拓き、持続可能な社会の創り手となることができるよう、知・徳・体のバランスのとれた質の高い学校教育を実現することが求められております。
このような学校教育を推進するため、6つの施策の方向である「9年間を見通した越谷教育を推進する」「確かな学力を育む」「豊かな心を育む」「健やかな体を育む」「自立する力を育む」「質の高い教育環境を整備する」を掲げ、以下のとおり重点的な取り組みを進めてまいります。
第1期小中一貫教育の5年間の成果と課題を踏まえ、「学力の向上・自己肯定感の高揚・学校生活充実感の高揚」を目的として、第2期小中一貫教育に関する研究指定とICT活用等、新たな教育課題の解決をめざす研究委嘱を継続して実施し、各校の研究推進への支援を行うなど、小中学校9年間を見通した系統的・連続的な取り組みを推進してまいります。
さらに、学習指導要領の趣旨に基づくカリキュラム・マネジメントの確立に向けて、各校の取り組みを深化させる研修を実施するなど、9年間を見通した教育課程の編成を支援してまいります。特に、教科等横断的な特色ある教育課程の編成を推進してまいります。
学校・家庭・地域が一体となって子どもたちを見守り、育成するため、学校運営協議会と学校応援団の連携・協働体制づくりの支援を行うなど、地域住民や保護者等の学校運営への参画を促進し、コミュニティ・スクールの充実に取り組んでまいります。
(仮称)蒲生学園および(仮称)川柳学園の令和8年度開校に向け、PFI手法を用いながら、新たに旧蒲生小学校敷地内に小中学校が一体となった校舎や、南中学校敷地内に川柳小学校高学年校舎の建設準備を進めてまいります。また、小中一貫校の整備に向けた協議・調整を行うため、該当する小中学校の教職員、地域住民および保護者などを構成員とする学校地域準備会等を開催し、小中一貫型小中学校の整備を進めてまいります。
児童生徒の学力の向上を図るため、「主体的・対話的で深い学び」の視点からの授業改善に係る校内研修の支援に取り組むとともに、指導資料の周知および活用推進を図るなど、わくわく感のある授業づくりを推進してまいります。
子どもの多様なニーズに応じるため、指導主事等による学校訪問を通して「授業づくり・心づくり・規範づくり」に関するブックレットの活用と周知を図ることをはじめ、自学自習システムの利用促進、AIドリルの導入など、個を生かし伸ばす指導の充実に努めてまいります。
授業改善に生かすため、国・県の学力調査に加え、本市独自の「越谷市検証テスト」を実施し、それらの分析を踏まえた学校支援に取り組むなど、学力調査等の活用を図ってまいります。
学習指導要領を踏まえた教育課程の実施に向け、授業動画の配信をはじめとする効果的な指導事例の紹介や、教職員研修会の実施に取り組むなど、指導内容・指導方法の改善に努めてまいります。
児童生徒の情報収集・発信・基本操作スキル・モラル等の情報活用能力の向上を図るため、ICT活用事例ハンドブックの作成と周知のほか、教職員研修に取り組むことを通して、GIGAスクール構想により配備された1人1台端末などを有効に活用した教育の充実に努めてまいります。
学習指導要領に基づく小中学校外国語教育の充実に向け、語学指導助手(ALT)の適正な人数確保とティームティーチングによる効果的な活用に努めるほか、外国語に係る指導力向上を目的とした研修会の実施など、英語力向上のため、英語教育を一層推進してまいります。
学習指導要領に示された学校図書館の「読書センター」「学習センター」「情報センター」としての3つの役割を具現化し、児童生徒の読書活動を一層推進するため、専門の資格を有する学校司書を増員し、効果的に配置するとともに、その資質向上や司書教諭・学校図書館運営ボランティアとの連携強化を目的とした研修会を実施するなど、読書活動を推進してまいります。
児童生徒の他人を思いやる心や生命を大切にする心、規範意識などを育むため、道徳教育振興会議主催の研修会および授業研究会の開催を支援するなど、道徳教育の振興に努めてまいります。
非行問題行動の未然防止に向け、きめ細かな生徒指導を通して児童生徒の自己肯定感を高めることができるよう、関係機関との連携を深め、教員の指導力向上を目的とする研修を実施するなど、きめ細かな生徒指導体制の充実に努めてまいります。
教育相談については、原因や内容が複雑化している状況への適切な対応に向け、小中学校と学校相談員をはじめとする専門職および関係機関が連携した組織的な相談体制づくりを進めるとともに、電話やSNS、来所等の相談窓口の充実を図り、不登校や悩みを抱える児童生徒および保護者への支援に取り組むなど、教育相談体制の充実に努めてまいります。
いじめ防止対策の推進については、いじめの早期発見のための市内全校共通アンケートを実施するとともに、関係機関との効果的な連携を図り、いじめの未然防止・早期発見・早期解消に努めてまいります。また、児童生徒がタブレット端末やスマートフォン等の機器およびSNSを正しく有効に活用できるよう、指導主事による教職員や児童生徒、保護者、地域住民を対象とした出前授業・講座を実施するとともに、家庭において親子で学ぶことができる教材の提供に取り組むなど、情報モラル教育を推進してまいります。
児童生徒が人権について正しく理解し、発達段階に応じた人権感覚を身に付けられるよう、教職員の指導力向上を目的とした研修を実施するなど、学校教育における人権教育を進めてまいります。
児童生徒が健康な生活を送るための基礎を
日本の食生活が欧米化し、柔らかい食べものを好む傾向にあることから、「かむことの大切さ」に対する理解が深まるよう、「よくかんで食べよう」をテーマに、かみごたえのある食材や調理法を献立に取り入れてまいります。また、児童生徒が主体的に望ましい食習慣や食生活の形成を図り、家庭においては、食事内容の改善や家族での共食の機会および食事時間の確保など、食に関する取り組みがなされるよう、令和3年度に実施した食事に関する調査の結果を踏まえ、「朝食」を食育のテーマとした食に関する指導を実施し、学校給食の充実と食育の推進に努めてまいります。
児童生徒一人ひとりが環境問題を自らの問題として認識し、持続可能な社会の担い手となるよう、学校ビオトープを活用した実践活動の充実やデジタル化された環境教育資料「しらこばと」の活用など、環境教育を推進してまいります。
児童生徒が自らの判断に基づいて行動し安全を確保できるよう、各校の防災訓練や防災学習を支援するとともに、「学校防災の日」における、地域との連携を図った全小中学校一斉の引き渡し訓練を実施し、自助・共助の意識を育てる防災教育を行うなど、安全教育の充実に努めてまいります。
個別的な教育ニーズのある児童生徒に対応するため、専門家による発達支援訪問指導や、専門性の向上を図る教職員研修を実施してまいります。また、特別支援学級の早期の全校設置に向けた取り組みや通級指導教室の適切な配置を推進するとともに、特別支援教育支援員の増員と効果的な配置および医療的ケアを受けることが必要な児童生徒に係る看護職員の配置に努めるなど、特別支援教育を推進してまいります。
不登校の未然防止に向け、スクールソーシャルワーカーや学び総合指導員を学校へ派遣するほか、指導主事による校内相談体制の充実に向けた支援に取り組んでまいります。また、不登校児童生徒の教育機会の確保に向け、適応指導教室の運営や、「学校・フリースクール・教育センター連絡会」を実施し、不登校児童生徒への支援を行ってまいります。
経済的理由により就学困難と認められる児童生徒の保護者に対して就学費用の一部を援助するとともに、高校・大学等の入学資金の調達が困難な保護者に入学準備金の貸付を行い、教育を受ける機会の確保に努めるなど、多様な就学機会への支援を行ってまいります。
日本語指導員を学校へ派遣し、学校生活における日本語の学習支援や適応支援を行うとともに、さらなる効果的な支援体制を検討、構築し、日本語を母語としない児童生徒への支援を行ってまいります。
幼児教育から小学校教育への円滑な接続を目的とした幼保小連絡会を実施するとともに、小学校教員を対象に幼児教育に関する理解を深めるための情報を提供するなど、幼児教育の振興に努めてまいります。
教職員の指導力を高めるため、教職員個々の経験年数や本市の課題に応じた研修内容の質の向上により、教職員の資質・能力の向上を図ってまいります。また、教職員が健康でいきいきと教育活動を行うことができるよう、ストレスチェックを年2回実施するなど、教職員の心身の健康の保持増進に努めてまいります。
さらに、教職員が児童生徒と向き合う時間を確保し、自らの専門性を高めることができるよう、「越谷市 学校における働き方改革基本方針」に基づき、ICカードを活用した客観的な時間外在校等時間の把握に努めてまいります。また、教職員の業務の円滑な実施に必要な支援に従事する教員業務支援員(スクール・サポート・スタッフ)を配置し、教職員の負担軽減を図るとともに、負担軽減検討委員会の運営や外部コンサルタントの活用を通じて、教職員の働き方改革を推進し、学校教育の質の維持向上に努めてまいります。
地域との強い絆で結ばれた教育活動を展開するため、学校応援コーディネーターや学校応援団担当教員、学校運営協議会委員を対象とした研修会を開催するなど、学校応援団の活動のさらなる充実を図ってまいります。また、地域人材や学生ボランティア等による放課後オンライン学習の支援体制および部活動外部指導者や部活動指導員による部活動支援体制の整備を進めるなど、地域人材を生かした活動を推進してまいります。
児童生徒が安全・安心で快適な学校生活を送ることができるよう、老朽化が進む学校の計画的な改修や川柳小学校への仮設教室の設置、西大袋土地区画整理事業に伴う大袋小学校のプール改築工事のほか、省エネルギー対策として照明器具のLED化を進めてまいります。また、教育の質の向上のため、学習者用端末をはじめとするICT機器およびネットワーク環境の高速化等の整備を進めるなどオンライン教育を推進するとともに、情報セキュリティの適切な管理と運用を図るなど、学習環境の整備と充実に努めてまいります。さらに、すべての児童に行き届いた教育を一層進めるため、国や埼玉県の方針に基づき、小学校3年生および4年生において35人以下学級を実施してまいります。
次に、基本目標2の「生涯にわたる学びを充実し、地域文化を振興する」について、申し上げます。
子どもから高齢者まで、幅広い世代が生涯にわたって自らの能力を高めることができるよう、学習機会を充実するとともに、その成果を地域社会に生かすことができる環境づくりをめざしてまいります。また、市民が人生をより豊かに生きることができるよう、地域文化の振興と普及に努めてまいります。
生涯学習においては、2つの施策の方向である「生涯にわたる学びを進める」「文化活動を充実し、郷土の歴史を継承する」を掲げ、以下のとおり重点的な取り組みを進めてまいります。
多様化する市民の学習ニーズに対応するため、市民との協働により、生涯学習フェスティバルやこしがや市民大学を企画・運営するほか、学習成果を地域社会やまちづくりに生かすことができるよう、循環型生涯学習社会の担い手育成の支援に取り組むなど、市民との協働による生涯学習推進体制の充実に努めてまいります。
だれもがライフステージ・ライフスタイルに応じて主体的に学ぶことができるよう、公民館における各種学級・講座を開催するなど、多様な学習機会の充実に努めてまいります。
各ライフステージに対し科学技術への関心を喚起し、未来を担う創造性豊かな人材の育成を図るため、特色ある特別展・企画展・講演会を開催してまいります。また、プロジェクションマッピングシステムを活用した非接触型の科学体験装置を導入するとともに、最先端の小型ロボットによる小学校低学年を対象にしたプログラミング授業や、市内小学校3年生・5年生全児童を対象にした科学実験工作体験授業の実施のほか、特別な支援を要する児童生徒へ向けた科学工作体験事業を実施するなど、特色ある科学技術体験センター事業の充実に努めてまいります。
同和問題(部落差別)をはじめとする様々な人権問題に関する正しい理解と認識を深め、人権意識の高揚を図るため、関係機関との連携により講演会や講座等を開催し、人権教育の普及・啓発に努めるなど、社会教育における人権教育を推進してまいります。
だれもが利用しやすい図書館をめざすため、電子書籍の拡充を図るとともに、障がいのある方の読書活動を推進するため、資料整備を行い、幅広い市民の読書活動を推進してまいります。また、図書館内に可動式授乳室を設置するほか、トイレの洋式化を実施してまいります。さらに、夏休みの宿題応援講座の開催や本のおたのしみ袋の貸出など、子どもの読書活動につながる取り組みを進め、図書館サービスの充実に努めてまいります。
市民の創作意欲の向上と普及を図るため、文化総合誌「川のあるまち」を発行するほか、越谷市民文化祭や越谷市美術展覧会、特別企画展覧会を開催するなど、市民が芸術文化を身近に感じ参加することができる環境を整えることにより、芸術文化活動を推進してまいります。
郷土芸能を保存し、後世に継承するため、郷土芸能体験教室を開催するとともに、伝統文化への理解を深めるため、こしがや能楽堂を拠点としたこしがや能楽の会や市民能楽養成事業を開催し、鑑賞する機会や体験の場を提供するなど、特色ある伝統文化の振興に努めてまいります。
文化財を次世代へ継承するため、市内遺跡の調査を行うとともに、越ヶ谷秋まつり、石造物および古文書などの調査を実施し、市内に所在する文化財の詳細の把握に努めてまいります。また、大間野町旧中村家住宅および
次に、基本目標3の「生涯にわたりスポーツ・レクリエーションに親しめる環境をつくる」について、申し上げます。
スポーツ・レクリエーション活動を通して市民の生きがいづくりや健康の維持・向上を図るため、多様なライフスタイルにあわせた活動機会の充実に努めてまいります。また、市民のスポーツ・レクリエーションに対する興味・関心を高めるとともに、スポーツ・レクリエーション活動を支援する体制の構築をめざしてまいります。
生涯スポーツにおいては、2つの施策の方向である「健康ライフスタイルづくりを支援する」「スポーツ・レクリエーション活動を支援する環境の充実を図る」を掲げ、以下のとおり重点的な取り組みを進めてまいります。
日頃運動する機会の少ない市民が気軽にスポーツを始められる契機となるよう、市民体育祭等の大会やイベントを充実させるとともに、スポーツ教室の動画配信や教室の内容および開催場所の見直しなどを行い、成人の健康・体力づくりを支援してまいります。
プロバスケットボールクラブ越谷アルファーズをはじめとしたプロスポーツの試合開催や全国レベルの大会等を誘致するなど、スポーツ観戦機会の充実に努めてまいります。
市民との協働によるスポーツ・レクリエーション活動を推進するため、スポーツボランティア制度およびスポーツリーダーバンク制度の周知に努め、人材の養成や登録者数の拡大を図るとともに、各種大会や教室等における登録者の活用を促進するなど、スポーツ・レクリエーションに係る人材を育成してまいります。
利用者が安心して快適にスポーツ・レクリエーション活動を楽しめるよう、施設・設備の安全点検や計画的な修繕のほか、しらこばと運動公園競技場の日本陸上競技連盟3種公認の更新に向けた準備を進めるなど、環境整備に努めてまいります。また、新たな地域スポーツの拠点となる(仮称)越谷市立地域スポーツセンターの整備に取り組むなど、体育施設の充実に努めてまいります。
以上、令和4年度の主要な教育施策について申し上げましたが、学習指導要領では個に応じた指導を一層重視し、指導方法や指導体制の工夫改善により個に応じた指導の充実を図る「個別最適な学び」と子どもたちの多様な個性を最大限に生かせるよう、必要な資質・能力を育成する「協働的な学び」の一体的な充実が求められております。
教育委員会といたしましても、将来を担う子どもたちが自らの能力を伸ばすことができるよう、多様なニーズに応じた教育機会を提供する環境づくりや、より多くの市民が循環型生涯学習社会の担い手となるよう、学び得た学習成果を地域社会やまちづくりに生かすことができる環境づくりに向け、さまざまな教育施策を総合的かつ計画的に推進してまいります。
結びに、「まちづくりは人づくり」という認識のもと、生涯学習社会の実現をめざして、第3期越谷市教育振興基本計画に基づき、教育行政の公正かつ適切な運営に努めてまいりますので、議員の皆さま、市民の皆さまにはご理解とご協力をお願い申し上げます。
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