更新日:2014年4月1日
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ピアニスト 北村明子さん
演奏を通じてステージと会場が一体になる“美しい瞬間”を求めて弾き続けたい
本格クラシックを軸とした多彩な演奏活動のかたわら大学や自宅でピアノの指導にも力を注ぐ、ピアニストの北村さん。ステージに立つことへのこだわり、芸術を追求し続ける情熱、そして一児の母として暮らす越谷市への思いを伺いました。
北村明子(きたむら あきこ)さん
プロフィール
新潟県生まれ。父親の仕事の都合で転居を繰り返し、結婚を経て2006年より越谷在住。東京音楽大学卒業後、東京芸術大学大学院ピアノ科修了。英国・ダーティントン夏期大学にてマスタークラスを受講し、演奏会に出演。コンクール・オーディション等の受賞歴多数。ソロリサイタルのほか、室内楽、歌曲伴奏などで演奏活動を行っている。2010年全日本ピアノ指導者協会より新人指導者賞を受賞。聖徳大学および埼玉県立大学講師
ピアノの先生への憧れそれがすべての始まり
「幼稚園の頃、よく歌を歌う子どもでした。その歌を聴いていた両親が「この子はすごく音感がいいから音楽をやらせよう」と思ったのが、私がピアノを習いはじめたきっかけです」
北村さんが近所のピアノ教室に通い始めたのは6歳のとき。ピアノ教室の先生との出会いが、「将来、ピアノの先生になりたい!」という夢につながったと言います。
「子どもながらに、先生はとても素敵な方だと感じていました。楽譜の読み方からリズムの感じ方、弾く姿勢といったものまで基礎をしっかり教えてくださったことが、その後ピアノを続ける上でとても役立ちました。“ピアノは耳が大事。耳で弾きなさい”というのも、先生から教わった大事なこと。父の転勤があり、習ったのは3年間だけでしたが、とても印象深い先生だったので、二十歳のときに会いに行きました。当時、東京音楽大学の学生だった私のピアノの悩みを聞いてくださり、また素晴らしいアドバイスをいただけました。ずっと憧れの存在です」
さらに高みへ難関の芸大大学院へ
東京音楽大学を卒業し、夢だった“ピアノの先生”へ。しかし「より良い先生」を目指し勉強を続ける中で、卒業から4年後、「大学院で勉強したい」と思うようになり、音楽大学の中でも最難関の東京芸術大学大学院に合格しました。
「大学院在学中は、国内外の素晴らしい先生方に師事し、とても有意義でしたし、さまざまな場所に招かれて演奏する機会が飛躍的に増えて、人前での演奏が楽しくなり、人生に欠かせないものとなりました。尊敬する教授に“あなたはずっと演奏活動をしていきなさい”と言われたことが、常に私の心の支えになっています」
人前で演奏することで、曲の理解度が一層深まると同時に、自分の芸術性や表現力も高まると言います。
「曲が伝えている高揚感や悲しみといった感情をピアノで私が表現する。その感情が会場のみなさんの心と一体化することがあります。それは“美しく感動的な瞬間”です。あの感動をまた体感し共有したくて、演奏活動を続けています」
越谷に住んで出会った心温かい人たちへの感謝の気持ちを込めて
8年前から越谷市に住むようになり、子育てを通じて地域の方々との交流が増え、多くの友人ができたと言う北村さん。
「越谷市は心温かい方が多く、本当に住んでよかったと思っています。都内を中心に演奏活動をしていた私が、すてきな出会いを下さった地域に何か恩返しはできないかと考え始めたとき、「(地域の)アーティストとホールの共同企画」(※)のお話が来て、ぜひ参加したいと手を挙げました。それが2010年で、その後いろいろな地域の音楽会に出演させていただいています」
子育てをしながらも、ピアニストとして常にステップアップを目指している北村さん。忙しくて大変なのではと聞いたところ、「友人を招いてホームパーティーをしたり、家族とスキーに行ったりと、リフレッシュの時間も大切にしています。最近のお気に入りは、市内にある『花田苑』。美しい日本庭園を眺めることで、感性を磨くことに役立っています」
柔らかい雰囲気をまといながらも、ピアノに関してはとても情熱的な北村さんに、ピアニストを目指す方へアドバイスをお願いしました。
「ピアノの練習も大切ですが、美術館に行ったり、大自然に触れたり…感性を磨くことも大切です。感性を磨いた分だけ、必ず素晴らしい演奏につながると思います」
※市内で活躍するアーティストとホールが、アートで街を元気にしたいという企画。サンシティや中央市民会館などで未就学児も参加できる無料コンサートを実施している
2012年、越谷市内で行った演奏会にて。「大好きな曲はリストの『ソナタ』。作品の奥深さに魅かれます」
広報こしがや季刊版 平成26年春号(平成26年3月15日発行)に掲載
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