更新日:2013年10月4日
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作家 越谷オサムさん
日常生活の中でごく普通に生きる人々にスポットライトをあてて描いていきたい
10月12日から、代表作のひとつ『陽だまりの彼女』が映画公開される越谷オサムさん。高校生や20代の若者が主人公の青春小説を多く手がけ、爽やかなストーリーと優しく温かみのある登場人物が定評の越谷さんに、執筆に込める思いや小説家になるまでの道のりを伺いました。
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「おしゃれな世界は書きたくない」ときっぱり言い切る越谷オサムさん。
「僕は1歳から越谷に住んでいますが、学生時代はレイクタウンや娯楽施設もなく、何かをするには都内に出る必要がありました。いつも、都会はいいなぁと憧れながらこの町で過ごしてきました。僕のような人はたくさんいると思います。多くの人が、越谷や習志野、相模原といった都市近郊や田舎に住んでいて、何もないつまらない町だと言いながら暮らしている。それでも、日常生活の中で、なんだかんだ楽しいことがあるんですよね。僕はそういう出来事を書きたいんです」。
さらに「読んでくれた人が、この登場人物は自分のことだと置き換えて読めるような小説を書きたい」と語る越谷さん。「登場人物がスーパーマンにならないように気をつけている」といいます。
「大人が子どものことを語るとき、犯罪を犯したような子か、オリンピックで金メダルをとるような子か、極端な例を引き合いに出すことが多くて、変だと思うんです。極端な子はほんの一握りで、ほとんどの子はみんな普通の子ですよ。僕は、そういうどこにでもいる普通の子たちの話を書きたい。でも、普通の子の普通の話なんて読んでも退屈でしょう? だから少しファンタジーな要素を加えてみたり、話が盛り上がるように心がけています。お金を出して僕の本を買ってくれた人に少しでも楽しんで読んでもらいたいから、どうしたら話が盛り上がるかいつも考えています」。ファンタジーな要素など物語が盛り上がるスパイスを加えながらも、越谷さんがこだわって描くのは、現実世界のどこにいてもおかしくない普通の子がリアリティのある会話を繰り広げる物語。だからこそ、多くの読者の共感を得るのでしょう。
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そんな越谷さん自身もごく普通の少年だったそうです。
「作家というと、文芸誌を読むような文学少年を想像されがちですが…僕は家の前で手打ち野球をしたり、教室の端でプロレスごっこをしたり、ファミコンやプレイステーションが流行ればそれに熱中したりする普通の子でした。将来の夢は野球選手か電車の運転手になることでしたがかなわず、大学を中退してサラリーマンにさえなれなかった。相当ボンクラな20代を過ごして、しかたなく小説家になりました」と穏やかに笑いました。
「でも、せっかく物語を書く能力を授かったのだから、僕にしか書けない物語を書いていきたいと思います。皆さんにおもしろいと思ってもらえる物語を書きたい」。また、控えめに「いろいろな方に僕の本を読んでほしいです」と付け足しました。
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自身が紡ぐ物語と同じく、爽やかで優しい雰囲気をまとった越谷オサムさん。10月12日からは代表作のひとつ『陽だまりの彼女』が映画化されます。
「今後は、これまで挑戦したことのない主人公が30〜40代の話も書いてみたいですし、ほかにも書きたい話がまだまだあります」と語る越谷オサムさんのご活躍に期待します。
越谷オサムさんの作品
広報こしがや季刊版 平成25年秋号(平成25年9月15日発行)に掲載
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