更新日:2012年3月15日
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素人ボランティア劇団 尾上劇団
演劇を通して、観る方も演じる方も絆が深まります。3 年先まで予定はいっぱいです
尾上劇団は、独特のエンターテイメントで、一期一会を大切に公演を続けています。回を重ねるごとに人気が増しています。
プロフィール
越谷を拠点とした大衆演劇のボランティア劇団。高齢者施設や養護施設、温泉施設などで無料公演を行っている。現在の公演回数は年間100回近くと精力的な活動に注目が集まっている。
尾上劇団会長 丸山幸男さん
昭和19年生まれ、昭和63年から赤山町に在住。理髪店を営む。昭和47年から福祉施設で無料散髪のボランティアを始める。平成12年尾上劇団を旗上げ。芸名は絆雪之条。
尾上劇団座長 加藤和子さん
昭和19年生まれ、昭和59年から25年間南越谷に在住。着付け師。平成17年から宮代町に。平成14年に尾上劇団に参加。17年より2代目座長を務める。芸名は尾上千鶴。
600回を超える公演を行う劇団になるまで
尾上劇団は旗上げから12年目を迎える。
無料散髪やカラオケ慰問などの活動をしていた丸山さんが、旅行先で芝居を見たときに、「芝居の方が喜んでもらえるんじゃないか、自分たちにもできるんじゃないか」と仲間5人で結成。仲間の父親が昔座長をしていたという劇団の名前を引き継ぎ尾上劇団が誕生しました。
「初めのころは、着物も着られたてない、殺陣もできない、みんながいい役をやりたがる。そこから一生懸命稽古をしました」と笑いながら振り返る丸山さん。現在劇団の中心となっているのは2代目座長の加藤和子さん。
「最初は着付け係の代役。それが着付け担当になって、さらに仲居さんの役をやってみないかと言われて、初舞台を踏みました」
その後、前座長に「ぜひ2代目に」と推され、7年前に2代目を襲名。
実は加藤さんは高校時代にソフトボールで国体出場の経験があります。越谷でもチームに入りプレーをしていました。勝負強さや地元でのネットワーク、そして人の集まるところが大好きという性格を前座長は見抜いていたのかもしれません。
ボランティアとはいえども、本物志向でやっています
「本職は着付け師なので衣装もかつらもちゃんとしたものでないと。見た目の華やかさでも楽しんでもらいたいので、演目ごとに着替えます。芝居小屋に行ったような雰囲気づくりにも手間を惜しみません」と座長の加藤さん。
本物志向はお芝居にも。
「多くの方に観ていただくために、うちは一施設に一回公演が原則です。だから毎回必死、手は抜けません」
お芝居の芯となるのは会長の丸山さんと、座長の加藤さんの息の合ったコンビ。
「いつも真剣勝負です。でもどんな場所でもやってきたからハプニングにも強いのよ」と貫禄の座長。
「使い古しの扇子をたくさん寄贈をいただきました。お年寄りや力の弱い方には使い古しが開きやすいんです。お客さんとみんなで扇子を持って、一緒に歌います。それから施設の職員さんたちにもエキストラで出演してもらいます。アドリブでその土地の地名や身近な話題を取り入れたり。そうやってみんなで参加している実感を持ってもらえるような工夫ができるのが大衆演劇のだいご味ですね」
劇団員は大所帯
「協力してくれる劇団員は越谷を中心に県内に80人近くいます。公演予定を知らせて近くの人、予定の合う人に来てもらうんです」と座長の加藤さん。
「うちは急に出演キャンセルでも、オッケーなんです」と丸山会長。退職後の六十代〜七十代が中心なので、無理なく、引退後に好きなことをという基本方針。
「参加に資格は問いません。誰でも、できることを、できるときに。三味線や踊り。車の運転や、荷物の積み下ろしでもかまいません」
埼玉県知事だった土屋義彦さんは平成16年に入団、ハーモニカ演奏で32回も出演しました。
「時々お手伝いに来てくれる認知症の80代の女性がいるんです。その方にお願いすると着物をきっちりと畳んでくれるんです」
ささいなことでも何かしら協力できることがある、それが喜びになっています。
東北の被災地でも遠征巡業を行う
昨年600回目の節目の公演を、座長の故郷である秋田で行い、また、東日本大震災被災地の岩手県、宮城県、福島県で遠征巡業を行いました。
今後の目標を伺うと、
「地方にも行きたいですね。老人施設だけでなく、高齢化した団地や過疎の地域など、お年寄りが閉じこもりがちな場所で、お芝居をすることで、交流の場を作って、顔の見えるまちづくりのきっかけになれば」と丸山会長。
加藤座長は、「関西方面にも巡業して、いずれは『岸壁の母』の舞台となった舞鶴に足を運んでみたい。実際の場所で演じられたらうれしいですね」とそれぞれ語ってくれました。
広報こしがや季刊版 平成23年度春号(平成24年3月15日発行)に掲載
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