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越谷市 Koshigaya City

更新日:2015年6月16日

ページ番号は58560です。

ピアニスト 後藤泉さん

絶好のタイミングで出会うべき人にあう幸せ。これから一層、地元の出会いを大切にしたい。

本格デビューした1999年以来、15年にわたって活躍を続けている、ピアニストの後藤泉さん。
ソロコンサートやウィーン・フィルハーモニー管弦楽団の首席奏者との共演など、国内外での多彩な演奏に加え、3年前から越谷での音楽活動もスタート。
キャリアを重ねてますます高まるピアノへの思いを伺いました。

プロフィール

桐朋学園高校音楽科を経て同大学ピアノ科卒業。
同大学アンサンブル・ディプロマコース修了。
これまでにウィーン・フィル首席奏者を始め、海外のトップ奏者と数多く共演するほか、ソリストとして、小林研一郎指揮日本フィル、井上道義指揮新日本フィル、ローマン・コフマン指揮ベートーヴェンオーケストラ・ボン、キエフ室内管弦楽団などと共演。ベートーヴェン交響曲(リスト編曲ピアノ版)に取り組み、3枚のCDをリリース。NHK文化センター青山教室、横浜教室でのレクチャーコンサートや、各地での定期的なコンサートも好評を博している。

ピアノへの姿勢を教えてくれた2人の先生との出会い

 ピアノ教室を開いていた母親の影響で、3歳からピアノを始めたという後藤さん。幼い日から現在までピアノを弾き続けてこられたのは、成長過程の良い時期に良い先生に巡り会えたからだと言います。
「私のピアノ人生に特に大きな影響をもたらした、2人の先生がいらっしゃいます。まず小学校5年生のときに習い始めた田沢恵巳子先生。田沢先生は一言でいうならコワイ先生でしたね。音楽に対する情熱が本当に強い方で、ちゃんと練習をしないと容赦なく怒られました。私は割と器用なタイプで、こう弾きなさいと言われたことがその場でパッとできてしまう。でもそれは単なる「先生のマネ」をしているだけ。その器用さに甘えて自宅での練習がおろそかになると、翌週のレッスンでは出来なくなっていて怒られたこともありました。器用なことは長所でもあるけれど短所でもある、と指摘してくださったのは貴重でした」
という後藤さん。
 中学3年生まで田沢先生に習い、桐朋学園高校の音楽科に入学した後藤さんは、そこでさらに奥深い音楽の世界を教えてくれる恩師・山根美代子先生に出会います。
「山根先生は14歳からパリに留学してピアノを学ばれた方で、西洋音楽の歴史や文化的・宗教的背景にとても詳しい方でした。先生
は『音楽は言葉だから、音楽の文法を知らなければいけない』とよくおっしゃられたのですが、その意味は、一つひとつの曲が持っている背景をきちんと知って楽譜を読み、弾くことが大事だということ。背景を知っていると『この曲のこの和音はこう弾くべき』という、その曲の文法が理解できるんです」。
後藤さんは現在でもコンサートの前には、弾く曲の背景をもう一度確かめるのだそうです。
「曲の理解は年齢や経験によっても変わってくるもので、何度も弾いている曲でも、ああこれはこういうことだったのか!と再認識することがあります。最近出演する機会が多いサロンコンサートでは、私自身が曲の背景をお客様にお話ししてから、聴いていただくこともあります。それによってお客様の想像力が広がればうれしいですね」

「音楽は生きている!」と実感したウィーン・フィルメンバーとの共演

 1999年から、プロとしての本格的な演奏活動をスタートした後藤さんは、2001年に初めてウィーン・フィル管弦楽団のメンバーとの共演を果たします。
「その時はベテランのチェリストの方との共演だったのですが、借り物ではないプロの演奏というものに触れて、『音楽って生きているんだ』という楽しさと喜びを味わいました」
という後藤さん。それ以降ウィーン・フィルメンバーとの共演は毎年のように続いているといい、今年5月には世界一周クルーズ中の豪華客船「飛鳥2」で、楽団のメンバーとともにトリオコンサートを行ったそうです。

他のピアニストがやっていないベートーヴェンの交響曲に挑戦

 後藤さんは、ベートーヴェンが作った交響曲全9曲をリストがピアノソロのために編曲したものを弾くという取り組みを、約3年の月日をかけて行いました。
「あるコンサートの曲目リクエストとしてスタートしたのですが、交響曲をピアノソロでやるというのは音の数がすごく多くてテクニックも必要ですから、とても挑戦的なことでした。でも弾いてみて、ピアノソナタとは違う壮大な音の世界を体験することができて、とても有意義でした。一番思い出深いのは、耳が聞こえなくなったベートーヴェンの人生を物語るような曲、第6番の『田園』ですね」
 後藤さんはこの挑戦で交響曲の魅力をより深く知ることになったと同時に、ピアノソナタの素晴らしさを改めて気付くことになったと言います。ベートーヴェンのピアノソナタ全32曲を弾くことが、今後の目標のひとつだそうです。

地元とのつながりをこれからはもっと強めたい

 後藤さんが越谷に住み始めたのは中学3年生の終わりから。
「小中学校の頃は八潮市、草加市に住んでいて、高校・大学は都内だったので、越谷に長く住んでいるにも関わらず、実は地元のおつきあいがあまりありませんでした。でも3年ほど前に越谷でNPO活動をされている方と知り合ったことをきっかけに、越谷で行われている『まちかどに音楽を!プロジェクト』に参加させていただくようになりました。越谷で開催したコンサートに最初に出演したとき、草加時代の古い知り合いや友人が見に来てくれたりして、地元の良さをしみじみ感じました。それから地域とのつながりも徐々に広がっているので、この出会いを大切にしていきたいです」
と後藤さん。これからも越谷での演奏活動を積極的に行う予定で、来たる8月・10月にも市内でのコンサート出演が決定しています。市民のみなさんが地元で後藤さんと出会うチャンスが、これからもっと増えていくことでしょう。

広報こしがや季刊版 平成27年夏号(平成27年6月15日発行)に掲載

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ファクス:048-965-0943

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