
更新日:2025年12月8日 ページ番号112792です。
| 受理番号 | 件名 | 付託委員会名 |
|---|---|---|
| 7請願第4号 | 家族従業者の人権を守るために所得税法第56条廃止を求める意見書の国への提出を求める件 | 総務常任委員会 |
家族従業者の人権を守るために所得税法第56条廃止を求める意見書の国への提出を求める件
《請願の要旨》
家族従業者の人権を守るために所得税法第56条を廃止するよう国に意見書を上げてください。
《請願の理由》
地域経済の担い手である中小業者の営業は、家族全体の労働によって支えられています。家族従業者が家業で働いている事実があっても、所得税法第56条(以下「56条」という。)条文は、家族従業者の働き分は、働いている当人の所得にはならず、事業主の資産としています。事業主の所得から配偶者86万円、それ以外の親族は50万円の専従者控除を認めるだけです。個人の労働が生み出した資産を事業主の資産と法律がみなしていることになり、働いている本人の基本的人権を著しく侵害しています。控除額の86万円、50万円を仮に働いた本人の所得として換算し、8時間労働で計算すると時給389円と226円となり、労働基準法で定められた最低賃金の3分の1、5分の1以下です。家族従業者の労働が労賃となっていないため、昨年の定額減税では、当初、家族従業者は対象外とされていました。労働しているのに1人の労働者としてカウントされず、配偶者や扶養家族の控除も受けていないからです。私たちの抗議を受け厚生労働省は誤りに気が付き、1年遅れで急遽今年に減税を実施の予定です。また家族従業者の労賃を必要経費と認めていなかった歴史的経緯が、下請けの低単価・低工賃の大きな要因となっています。様々な社会的保障が労賃の無い基準で計算され大きな社会的損失を受け、零細事業者の衰退に拍車をかけ後継者不足の一因ともなっています。
56条は、明治20年の所得税法の施行に伴い、戸主制の下に制定された世帯課税の考え方の条文です。シャウプ勧告により、基本的人権を尊重した個人単位課税が原則の、現行法制施行から75年がたちました。家事関連費との区別が困難、所得隠しを防ぐなどを理由として、農業や漁業を含む自営業者のみ世帯課税が正当化されてきましたが、当時とは社会状況も大きく変化しています。パソコンやスマホの普及で個人事業者の9割が事業費を家事費とは分けて記帳するようになっています。平成26年からはすべての事業者に記帳が義務付けられ、申告の仕方で差別する根拠もなくなりました。第190回国会財務金融委員会で麻生財務大臣(当時)が「資産の状況を記帳する青色としない白色の記帳にはレベルの差があるので、国連女性差別撤廃委員会(CEDAW)の指摘はあたらない」と答弁していますが、資産の記帳が無い青色申告もあり、この答弁には根拠がありません。本来申告の仕方で差別し、働いている事実を無いものとする法律自体が問題です。75年前の法律の前提の社会的状況が崩れてきている以上、この記帳義務付けと同時に56条は廃止すべきだったと考えます。
また個人の人権に対する社会の見方も大きく変わり、男女共同参画基本法が成立し、各地の自治体には地域で基本法を推し進めるべく条例が制定されています。越谷市男女共同参画推進条例では「男女の個人としての尊厳が重んぜられること。」、「男女が性別による差別的取扱い(直接的であるか間接的であるかを問わないあらゆる差別的取扱いをいう。)を受けないこと。」と謳われています。56条に男女の規定はありませんが、法律成立の時代背景からも現実的にも、家族従業者の8割は女性です。全国583自治体の議会が「56条の廃止を求める意見書」を国にあげています(2025年9月)。埼玉県市町村税務協議会は行政の立場から、56条について時代に即した税制の見直しを行ってほしい旨、毎年国へ要望を行っています。多くの主要国では、家族従業者の人格・人権・労働を正当に評価し、その働き分を必要経費に認めています。第7回及び第8回審議に続き、第9回国連女性差別撤廃委員会(CEDAW)は、日本政府に対して、「女性の経済的自立を促進するため、女性の家族経営企業での労働を認めるよう所得税法第56条を改正すること」と勧告しました。しかし国会では、麻生内閣から始まり民主党政権を経て現在に至るまで、56条問題は何回も「研究、見直し、検討」の答弁が繰り返されています。第190回国会でも「56条を含めた所得税法の丁寧な検討」の答弁をし、また第4次男女共同参画基本計画では「商工業等の自営業における家族従業者の実態を踏まえ、女性が家族従業者として果たしている役割が適切に評価されるよう、税制等の各種制度の在り方を検討する」との閣議決定までしましたが、いまだに具体的な検討が始まりません。地域の中小業者や家族従業者の生活実態を踏まえた所得税法第56条見直しの要望を、国に出してください。
署名1,520筆を添え、地方自治法第124条の規定により上記のとおり請願いたします。
議会事務局 議事課(本庁舎7階)
電話:048-963-9261
ファクス:048-966-6006
Copyright Koshigaya City All Rights Reserved.